こゝろ (角川文庫 な 1-10)

著者 :
  • KADOKAWA (2004年5月10日発売)
3.94
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本棚登録 : 8510
感想 : 658
5

この作品の愛ゆえに、先生に対してかなり辛辣な感想になってます。
不快に感じる可能性のある人は、読むのをお控えくださいm(_ _)m


…………………………………………

只今、私38歳。
この歳になって何度目かの再読で、新しい側面発見しまくり。
こころって、こんなに人間の身勝手さ、エゴの強さを見せつけられる作品だったのか…
マジで反面教師かよ、(先生だけに)


「先生と私」「両親と私」
先生の思わせぶり、構ってぶりが凄い

「私々は最も幸福に生まれた人間のいっついであるべきはずです」
「また悪いことを言った。焦らせるのが悪いと思って説明しようとすると、その説明がまたあなたを焦らせるような結果になる。どうも仕方がない」

あとは先生の奥さんが可哀想すぎる。
「自分と夫の間にはなんのわだかまりもない。またないはずであるのに、やはり何かある。
それだのに目を開けて見極めようとするとやはり何にもない。奥さんの苦にする点はここにあった。…疑いの塊をその日その日の情合で包んで、そっと胸の奥にしまっておいた奥さんは、その晩その包みの中を私の前で開けてみせた」
↑表現好きすぎる

そして「先生と遺書」

最初、修行僧のような友人のKを不憫に思ってお嬢さんの下宿に引き入れるが、お嬢さんとKが必要以上に仲良くなると面白くない…

人の心はままならんのう( ; ; )

しかしだね
「私は〇〇に思い切って思いを打ち明けようと思った。無論その勇気もあった。でも(外的な要因)のためにできなかった」みたいなとこがめっちゃ目につく

ごちゃごちゃうるっせえええ!
この言い訳野郎が!
結局は怖くて出来なかったんだろうが!

問題のKの部分も、Kと先生の対比がエグい。
他人への思いやりのために自分の辛さや、肝心の部分は一言を言わずに全てを無に帰したK。
そんなKを目の当たりにして保身に走った先生。
更に極め付けはこうだ。

「私はわざとそれをみんなの目につくように、元の通り机の上におきました」
オイイイイ!このゲスーーーー!!!!


その上、妻には何も知らせたくないだの、妻の記憶を純白に保存したいだの勝手すぎる(☝︎ ՞ਊ ՞)☝︎

女性は、好きな人から上限一杯の愛情を注がれている!という事実が大事なんだよ!
俺のことカッコいい完璧な俺のまま好きでいてほしいーなんて男の勝手
これで奥さんの切ない疑惑が晴れることは一生ない。お前が理解されない寂しさを語るなよ!
奥さんの方が1000倍寂しいわアホ!!

奥さんに一生隠すつもりなら別れろよ、と思う。
そこは自分が痛めよ!
奥さんとのささやかな幸せを受け取っておきながら、都合が悪いところはずっと隠しておきたいなんて、どんだけ!

お陰で奥さんはお前の死後もその後の人生ずっとずっと辛いんだぞ!別れてくれれば、時間がかかったかもしれないけど、別の幸せがあったかもしれないのに。


ああーでも人間の永遠のテーマですよね
自分の利益を優先してしまう
先生はムカつくけど、気持ちが分かるからムカつくんだよね
自分を優先したい気持ちをグッと堪えてKのように他人のために自分を削るのは辛い
けど、より良い人間になるためにそこを目指していこうや…ってメッセージを感じた


憎いのは、遺書と共に物語もバッサリ終わってるところなんだよね…
だから「私」がどう思ったか、先生は自殺したのかは結局分からないんだよね

この余白が物語に一層の深みを与えてる気がする
フゥ….気が済んだよ…

暴言すみませんでした


読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2023年5月13日
読了日 : 2023年5月5日
本棚登録日 : 2023年5月5日

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コメント 2件

naonaonao16gさんのコメント
2023/05/13

ねー、聴いてよ、今日38歳になっちゃったよ、、

『こころ』中学の教科書以来読んでないな、、
普段あんまり授業に集中していないクラス全体が息を呑んでその瞬間を迎えたなぁ、と思い出に浸っちゃった。

ミオナさんのコメント
2023/05/14

わあ!誕生日おめでとう╰(*´︶`*)╯♡
38歳、私数えで39だから一つ下だね
やっぱり同世代だった!
嬉しい♡♡♡

私もめっちゃ久しぶりに読んだんだよ
こんな話だったの?ってびっくり
国語でやった時のこと思い出すよねー
やっぱり名作は授業で扱ってもちょっと引き締まる感じだよね

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