手紙 (文春文庫 ひ 13-6)

著者 :
  • 文藝春秋 (2006年10月6日発売)
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武島剛志と直貴は二人きりの兄弟。
弟の大学進学のための金がほしくて、剛志は空き巣を思いつき、強盗殺人の罪を犯してしまう。

世間から見れば、犯人が捕まればそれで終わり。
自分に危害が及ぶことはないと確信できれば、それで事件について思い返すことはないでしょう。
けれど被害者家族(遺族)、加害者家族にとってはそれは不可能なのです。
逃げるにしろ向き合うにしろ、自分でその事実との関わり方を考えさせられます。

罪を償うのは罪を犯した者だけであるはずなのに、世間の目はそれを許さない。
途中直貴が本当に気の毒でしたが、もし自分の周りに同じような人がいたら自分はどう接するだろうと考えると、やはりあまり関わらないようにするだろうと思います。
直貴に非はなくても、きっとどこかで差別してしまうのだろうと思いました。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
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感想投稿日 : 2022年10月18日
読了日 : 2022年10月18日
本棚登録日 : 2022年6月23日

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