五賢帝と言われた時代物語。内乱を収束させ、自身が高齢であることからその準備を短期間に行い、適切な後継者を選択したネルヴァ(第12代皇帝)。帝国を隅々まで飛び回り、最大版図を築いたトライアヌス。反対に、帝国内にとどまり、内政やインフラ、法体系を充実させたハドリアヌス。慈悲深い皇帝として市民の尊崇を集めたアントニヌス・ピウス。そして哲人皇帝と讃えられ、その著書である「自省録」が2000年後の今でも読まれているマルクス・アウレリウス。もちろんそれぞれの皇帝に闇の部分はあり、ユダヤ人国家の制服と追放が今に至る悲劇の元となっているような事件も。その上で、賢帝と言われる理由があるということ。国家の安全、市民の幸福、平等(今から考えると限定的ではあるが)、税の免除や娯楽の提供、元老院議員や貴族、兵士への対応など、リーダーとして重要な要素が随所に散りばめられている。もしかして最高のリーダー論なのではないだろうか。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
未設定
- 感想投稿日 : 2024年4月6日
- 読了日 : 2024年3月31日
- 本棚登録日 : 2023年10月20日
みんなの感想をみる