「原因と結果」の経済学―――データから真実を見抜く思考法

  • ダイヤモンド社 (2017年2月17日発売)
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感想 : 231
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以前読んだ著者の一人・中室牧子氏の『学力の経済学』が面白かったので、本書を手に取ってみた。ちょっと予想とは違って本書は「因果推論」の入門書であり、純粋な学術書。
因果推論の根底にある考え方を図やイラスト、そして身近な事例などを踏まえて徹底的にわかりやすく説明するために執筆された本である。

・健診を受けていれば健康になれる
・テレビを見せると子どもの学力が下がる
・偏差値の高い大学に行けば収入は上がる

など、一見して「これはそうなんじゃないの?」と思うようなことがらについて、それが「因果関係」なのか「相関関係」なのかが分かりやすく説明されている。

「因果関係」と「相関関係」を誤って認識してしまうと、全く違った方向に企業戦略や国家戦略が向かってしまうことが往々にしてある。
例えば、Aという政策をやったらBという結果がでた。だから「Aをやれば必ずBになる」のかといえば、そうはならない。
その結果はもしかしたら
1「まったくの偶然」かもしれない
2「第3の要素C」が関係しているかもしれない
3「逆の因果関係」で、BだったからAなのかもしれない
ということがあるのだ。

こういったことを踏まえ、本書では日本の各種政策等がきっちりとした検証が行われずに行き当たりばったりで行われているのではないかと思われるような事例も多く紹介されている。

本書は数式など出てこず、非常に分かりやすく説明されており、ビジネスパーソンとしてはマーケティングなどを担当している人が読んだら非常に参考になると思う(もしかしたら、そのような人にとっては「ここに書いてあることは常識だよ!」と言われてしまうかもしれないが・・・)。
本書を読んで、さらに「因果推論」を勉強したいという人には専門書もきっちりと紹介されているので、興味を持った人はそちらも読んでみると良い(僕はいいかな・・・)。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: ビジネス
感想投稿日 : 2019年7月17日
読了日 : 2019年7月14日
本棚登録日 : 2019年7月17日

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