ぼくは明日、昨日のきみとデートする (宝島社文庫)

著者 :
  • 宝島社 (2014年8月6日発売)
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本棚登録 : 16796
感想 : 1449
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これを言ったらタブーなんだろうが、彼女は産まれた時どんな状態だったんだろう。また、何故時を遡る彼女がまた電車で会えるんだろう?15歳と25歳ということ?
読みやすくて気楽な感じの読書だったので、まあ楽しめたかな。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2022年10月15日
読了日 : 2022年10月15日
本棚登録日 : 2022年10月9日

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コメント 3件

さてさてさんのコメント
2022/10/15

kakaneさん、こんにちは!

ずっとご挨拶ができておりませず、大変失礼しました。いつもありがとうございます。女性作家さんの小説限定という狭い範囲の読書をしている私からは、多彩な読書をされていらっしゃるkakaneさんの選書の幅広さに、とても新鮮なレビューを読ませていただいています。ありがとうございます!

この作品、私も読書最初期に読みました。と言っても私の読書歴はまだ三年しかありません。そんな読書の実質的起点になった一冊がこの作品です。この三年でそんな読書も600冊近くになったのですが、その中から恋愛小説を一冊選べ!と言われた場合には一才の躊躇なくこの作品をあげます。私にとってはそれくらいに強いインパクトを与えてくれた作品です。今回、ご挨拶を兼ねてコメントを書かせていただくことにしたのは、kakaneさんが『?』を書かれた点について私の理解を書かせていただきたいと思ったからです。この作品の舞台はパラレルワールドなんだと思います。彼と彼女はパラレルになった二つの世界の別の住人。それぞれの世界は、その世界に暮らしている住人からすると、私たちの住む世界と同じ。なので、彼女は彼女の世界で普通に赤ちゃんとして生まれ、年をとり、お年寄りになって死んでいく、これ自体は私たちの概念と何も変わらないと思います。それが、この小説のように、彼の世界から彼女の世界を見ると大人だった彼女が子供になっていくように見えるのは、二つの世界の時間軸が逆行しているからなのだと思います。お互いの世界の時間は通常、私たちが考える感覚で流れています。でも、その二つの世界をそれぞれに眺めると相手の時間は時間軸が逆になっているために逆に流れて見えるというイメージです。東京から博多行の新幹線に乗っているのが彼、彼女は博多から東京行の新幹線に乗っている。その移動の流れを時間に置き換えて、彼から彼女の新幹線を見ると自身にとって過去である東京に向かって彼女は進んでいるとなります。そして、そんな二人が新大阪で出会う。この作品はそんな新大阪の出会いを描いたものなのだと思います。その出会いの後に彼から彼女を見ると彼女は過去(東京)に向かって進んでいくように見えます。そして、これから彼が向かうのは、彼女が生まれた側、博多へと向かっていくことになります。しかし、この作品では10年に一度再会を果たしていきます。なので山手線や大阪環状線に置き換えて考えれば良いのかなと。この時に、時間軸が逆行しているので、彼から見ると彼女は時を遡っているように見えますが、彼女の時間軸から見ればなんのことはなく、私たちの概念と変わらない時の流れで進んでいるとなります。
2008年のアメリカ映画に「ベンジャミン・バトン」というものがありました。あの作品では老人として生まれた彼が、成長するに従って若返っていく姿が描かれていました。老人から青年、赤ちゃんとなっていく彼。この概念だと生まれた時がおじいさん!という摩訶不思議なイメージになっていました。それに比べてこの作品は、パラレルワールドのそれぞれは普通の世界、彼も彼女も普通の人生を送っているとなるので、私としては「ベンジャミン・バトン」には違和感をとても感じましたが、時間軸が逆行というSFの概念設定さえ受け入れれば、この作品は、より自然なのではないかと思いました。
この作品、私は映画から入りました。映画では、作品の最後に彼女の視点から見た物語が早送りで挿入されているんです。これを見ると、彼女の時間軸的にはとても自然、しかし、彼の時間軸(彼の気持ち)に違和感を生じないように振る舞う彼女の努力がいかに苦痛を伴うかが見えてきました。彼から彼女は出会い→手繋ぎ→キス→初体験なのが、彼女から彼は、初体験→キス→手繋ぎ→出会いという体験をすることになります。こんなこと普通にはありえないです。それを、彼の時間軸的に違和感のないように彼女は自分の時間軸ではありえないにも関わらず、そうは見えないように必死に振る舞います。それは、彼女が如何に深く彼を愛しているからです。そんな彼女の心を思うとあまりに切ないです。彼女の立場に立てば立つほど耐えられない思いに未だ囚われています。映画では、それから10年、20年後の世界も描かれていました。これをトータルに見た時の二人のそれぞれへの想い、それぞれの時間軸の流れに沿って、相手と最後の別れをした後の気持ちを思うと、すみません、コメント書きながら涙が止まらなくなりました。馬鹿みたいですが、この作品、私には未だ地雷のようなヤバい作品です。

すみません、自分のレビューでもないのに、こんなに長々とコメントを書いてしまって大変申し訳ありません。
私の理解はこんな感じです。どうぞよろしくお願いいたします。

kakaneさんのコメント
2022/10/23

さてさてさん、コメントありがとうございます。
別世界での異なる時間の流れ。すっきり納得しました。
最近乱読が過ぎて、話の本筋を逸脱することがあり、丁寧なご説明にストンと落ちる感じで理解しました。
ありがとうございます。
一年前くらいに読んだフィリップ・k・ディックの「逆まわりの世界」も時間を遡る現象を扱っていましたが、こちらはなんの説明もなく、しかもホラーだったので読後感が良くなかったのですが、「ぼくは明日、昨日・・・」は読後感が良くて気持ちの良い読書でした。本当にご説明ありがとうございました。感謝!これからも充実した読書生活をお過ごしください。

さてさてさんのコメント
2022/10/23

kakaneさん、ありがとうございました。
長々としたコメント大変失礼しました。
おっしゃる通り「ぼくは明日、昨日・・・」はとても読後感が良いですよね。そんなところも読書の充実感に繋がるような気もします。
こちらこそ、今後ともどうぞよろしくお願いします!

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