鑑定士と顔のない依頼人 [DVD]

監督 : ジュゼッペ・トルナトーレ 
出演 : ジェフリー・ラッシュ  ジム・スタージェス  シルヴィア・ホークス  ドナルド・サザーランド  ジェフリー・ラッシュ  ジム・スタージェス  シルヴィア・ホークス  ドナルド・サザーランド 
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潔癖症かつ女性恐怖症ながらも美しい女性の肖像画を大量にコレクションする美術品鑑定士ヴァージルと、広場恐怖症の女性クレアの恋の物語&サスペンス。

気難しい老人ヴァーイルはやり手の鑑定士。
著名な美術館から依頼があるくらい正確な鑑定で有名。
しかし実は、画家志望のビリー(ヴァージルはビリーの絵を神秘性がなく下手くそだと評価していた)と組んで自分の気に入った女性の肖像画を通常の価格よりも安くビリーに競り落とさせ、ヴァージルのコレクションにしていた。

そんな彼のもとに両親が亡くなり屋敷の美術品を鑑定して欲しい女性、クレア・イベットソンから電話連絡がある。
クレアはなんだかんだと言い訳をしてヴァージルに合わないようにしているようで、豪邸の案内も管理人であるフレッドに任せ、自分は顔も出さない。
実は広場恐怖症でフレッドにも会ったことがないらしい。
女性恐怖症で潔癖症で美術品を触る時以外、食事の際でも手袋を外すことができないヴァージルはそんなクレアに親近感を抱く。

クレア宅にあったオートマタの部品を古道具いじりの上手な好青年ロバートに任せるヴァージル。
ロバートはプレイボールで女性経験のないヴァージルのクレアに対する言動へアドバイスをくれる。
ロバートのアドバイスに従って引きこもりのクレアの容姿を盗み見たり、花をプレゼントしたりロバートのおかげでクレアとの仲が深まるが、ロバートの彼女のサラから「ロバートはプレイボーイでクレアの話ばっかり!」と自分よりも女に慣れた奴がクレアに興味を持つなんて…と嫉妬心を持ち一時は仲違い。
しかし、オートマタの新たな部品をクレアの部屋で見つけたヴァージルはロバートと仲直り。
再びオートマタ再生とプライベートの相談をする仲に戻る。

徐々に距離を縮めたクレアとヴァージルだが、広場恐怖症で引きこもりだったはずのクレアが突如屋敷から失踪。
慌てたヴァージルは管理人のフレッド、青年ロバートと仕事も忘れて探し回る。
状況を知った相棒ビリーはロバートに誘拐されたんじゃないかというが、そのロバートから電話連絡があり「屋敷の中に他に隠し部屋があるのでは?」とヒントを与えられ、屋根裏を探すとクレア発見。
ロバートの示す通りにことが進んでいてなんか怪しい。

クレアはプラハで年上の彼とバカンス中に、車の事故で彼を失っていた。
それで広場が苦手になり外に出られなくなったらしい。
そんな事情を知りようやくクレアとヴァージルは結ばれる。
結構年上のジジイなのに恋愛対象になるのか?と思っていたけど、年上好みなのかクレア。
一緒に暮らしたいヴァージルだけど、クレアは繊細だからなにかきっかけを待ったほうがいいとアドバイスするロバート。
クレアの屋敷前でヴァージルが暴漢に襲われボコボコにされて携帯でクレアに助けを求める。
外に出ることができなかったクレアだが、ヴァージルの一大事に外に飛び出しともに病院へ。

暴行事件がきっかけで外に出られるようになったクレアはヴァージル宅に住むようになる。
ウキウキで秘密のコレクション部屋を案内するヴァージル。
女の肖像画だらけの部屋でクレアは絵に圧倒される。
ヴァージルは「君の前に愛し愛された女がいた(コレクションの大量の女性肖像画の事)が君を待つように教えられた。ここを家にして欲しい」とプロポーズ。
いや、絵じゃん。ドヤ顔すな。
「たとえ何が起きようと、あなたを愛しているわ」ヴァージルに抱きつくクレア。でもその表情は見えない。

愛し愛されることを知ったヴァージルはクレアと過ごすため鑑定士を引退する事にする。
クレア宅の美術品の競売はクレアが売りたくないと言った一言であっさり中止。
ヴァージルの仕事最後の日を迎え、相棒のビリーも「もう会えなくなると思うと寂しいよ、私の描いた絵を贈るよ」とさよならを告げる。
仕事が終わりウキウキで家に帰るヴァージル。
しかしクレアはどこにもいない。
それどころか、秘密のコレクションである数々の女性の肖像画が全て奪われ、薄汚れたオートマタが「その通りだ 会えなくて寂しいよ いかなる贋作の中にも必ず本物が潜む」と繰り返し話し、クレアの母親の自画像だと思っていた絵の裏には、“ヴァージルへ親愛と感謝を込めて ビリー”と記載されていた。
好青年風のロバートは怪しいなと思っていたけど、相棒のビリーもグルだった!
確かにヴァージルの行動をコントロールできるのはロバートだけど、価値の高いコレクションの存在を知っているのはビリーだ。
クレアからのメッセージは無い。
雇われた犯罪者なのか少しはヴァージルに対して申し訳ないと思っているのか。
クレアの屋敷が見えるカフェで張り込むが帰っては来ない。
むしろ、そこにいた一度覚えたことは絶対に忘れない小人の女性に、クレアは偽名で、親切な青年ロバートに安く屋敷を貸し、引きこもりのどころか200回以上屋敷の外に出かけているのを見たと知らされる。
全てがウソだったと信じられないヴァージルはクレアが過ごしたプラハに移り住み、クレアが好きだと言ったカフェの入り口のよく見える席でずっと過ごす。
「ツレを待っている」と店員に告げて。
やがて孤独に苛まれたヴァージルは廃人のようになり施設に入所。
魂が抜けたような状態になってEND

最後はえ〜え!!ウソやろ、お爺ちゃん可哀想って感じ。
クレアのために老体で無理して体が限界になったり長いこと孤独に過ごした人間に2人で過ごす楽しさを知らせてから全てを奪い取るとか酷すぎ。
コレクション気質の粘着タイプっぽいからクレアの事を病的にずっと忘れられんだろうし人生の最後に随分ひどい目に合わせる。
盗まれたコレクションも非合法で競り落としたのは表面上ビリーってことになっているからヴァージルにはどうしようも無い。踏んだり蹴ったり。
なんでもロバートの言う通りに上手くいって怪しいなって感じだったけど、まさかビリーまで裏切っているとは思わなかった。
管理人フレッド、好青年ロバート、ロバートの彼女サラ、クレアは恨みがあったわけじゃ無いだろうからビリーが計画した黒幕なんだろうな。
画家としての才能が無いと言われたことをずっと恨んでいたのかも。

クレアの本当の気持ちは全く分からない。
「たとえ何が起きようと、あなたを愛しているわ」って本当にそう思ってます?
表情が写っていなかったからしめしめ…って顔してたんじゃ無いの?
心でそう思っていても、こんな酷い目に合うならノーサンキューやわ。
私は“心が痛む映画だ”と思ったけど、絵にしか興味のなかった男が本当の愛を覚え、愛を待ち信じる事ができるようになったんだと解釈する人もいるのね。
“騙されるくらいなら最初から関わりあいたく無い”って言うコミュ障的な考え方の人には悲劇に感じるのかも。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 映画
感想投稿日 : 2020年7月24日
読了日 : 2020年7月24日
本棚登録日 : 2020年7月24日

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