自分を試すノンフィクションだ。
何より著者である森達也氏の心の葛藤が伝わってくる。
目の前で見せられたスプーン曲げ、スプーン捻り。
ダウジングでの意地悪な実験。額に張り付く1円玉。
それらを目の当たりにしながらも、信じていいのか?信じてはいけないのか?その狭間で揺れ動く心の行く先を追いかける物語であるとも言える。
そう言う意味では、ドキュメンタリーというのはやはり中立の立場で物事を捉えられるものではないのだということも理解できた。
刺激に満ちたドキュメントはいつだって、自分もその中に飛び込んで、溺れないように暴れているようなものだ。
オイラ個人で言えば、子供の頃から興味ありました。だから基本的にはオカルト的なものに対して、肯定的なスタンスを取っています。
霊体験も二度ありました。
しかし、この本を読めばさらなる驚愕を覚えます。
森氏は強烈な現象を目の当たりにしても、決して彼ら超能力者の技術を信じることができない。ほんの枝葉末節をあげつらいトリックではないのかと疑念を抱いている。自分の手の内のスプーンがねじれているにもかかわらず。その辺りの葛藤が苦しく胸に迫る。
しかし、「彼らの言うことが嘘ではないということは信じる」という言葉に救われる。そして「あいまいな確信」を獲得することができたという。また、超能力をバラエティ番組で放送するメディアの姿勢を批判するあたりからメディア論に流れていく。
要するに人はメディアに流されることなく、自分一人一人の心と向き合った上で行動しろということだ。メディアでバッシングされるから沢尻エリカがむかつくとか、腰パン王子を揶揄するのだけはオイラはしたくないと改めて思うのだった。
だってたった一人の個人をなぜ総掛かりでイジメなきゃならないのでしょうか??
- 感想投稿日 : 2013年3月15日
- 読了日 : 2010年4月10日
- 本棚登録日 : 2013年3月15日
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