主人公に気持ちが乗り移ってしまい、最悪の気持ちで迎えた読後感。
下巻に入り、悲しみと虚無感が交互に押し寄せてくる物語展開。
しかし読者は涙に流されることを許されない。
戦勝国が敗戦国を裁く国際軍事法廷。
作者はその理想と矛盾を暴き出す。
行き詰る法定でのやり取り。
文官で唯一絞首刑に処せられた広田 弘毅の無念さは如何ほどであったろう。
アメリカの傘の下で繁栄を謳歌する我が国において、一体どれだけの人が、アメリカの犯した罪を知っているのか。
骨抜きの日本人に喰らわす鉄槌のような小説だ。
緻密な取材が伺わる。
もはやフィクションとは言えない。
各人を取り巻く状況は限りなくリアルで絶望的。
作者が最後に突きつけた結末に呆然。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
日本文学
- 感想投稿日 : 2013年3月13日
- 読了日 : 2008年10月30日
- 本棚登録日 : 2013年3月13日
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