卒業 (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社 (1989年5月8日発売)
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本棚登録 : 23542
感想 : 1722
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【感想】
大好きな加賀恭一郎シリーズの第1作。
このシリーズをこんなにも大好きなのに、未だ読んだことがないとは如何なものか??と思い、早速読んだ。

うん・・・
作中の「雪月花」の作法が難しすぎて、正直ほとんど読み飛ばした。
そうこうしていながら読み飛ばしている最中に、第二の殺人が起きて、、、
もはやこの小説トリックに関しては諦め、動機に着目しよう!!と読んでいて思った。笑

タイトルの「卒業」は、単純に学生からの卒業だけではなく、登場人物7人それぞれの、色んな意味での「卒業」という意味も兼ねているのかな。
登場人物のそれぞれの結末は少し後味が悪く、また加賀恭一郎が何故教師ではなく警察になったのかは分からずじまいだった。

最後に、、、
この本が発売されたのは1986年なんですねー。
そういった古臭さは全く感じず、新鮮に読めた。
宮部みゆきの「レベル7」然り、名作は何十年たても決して色あせないんだな。


【あらすじ】
7人の大学4年生が秋を迎え、就職、恋愛に忙しい季節。
ある日、祥子が自室で死んだ。
部屋は密室、自殺か、他殺か?
心やさしき大学生名探偵・加賀恭一郎は、祥子が残した日記を手掛りに死の謎を追求する。
しかし、第2の事件はさらに異常なものだった。
茶道の作法の中に秘められた殺人ゲームの真相は!?


【引用】
p39
「もし祥子に何か悩みがあって、それを君や波香が知っていたとしたら、彼女は自殺などしなかったと思う。悩みというのは、人に知ってもらうことによって低減するという性質を持っているからな。」

「話せるということは、心にどこか余裕がある証拠でね、真の悩みというものは人には話せないものさ。この場合は友情も無力だ。」


p191
冷静なんだ、と沙都子は加賀の話を聞いていた。
「疑う?」と訊いた時、とにかく激しく否定する加賀を彼女は期待した。
だが彼はそうしない。いつだって理詰めだ。だから迷わない。
そして最後の補足が彼の思いやりだ。

「果たして俺たちは、他の者のことをどれだけ知っているんだろう?」
「本当は何も知らないんじゃないか?」

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 小説
感想投稿日 : 2019年3月26日
読了日 : 2019年3月26日
本棚登録日 : 2019年3月26日

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