ソロモンの偽証: 第I部 事件 上巻 (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社 (2014年9月1日発売)
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本棚登録 : 8432
感想 : 498
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【感想】
映画にもなった宮部みゆきの超大作、「ソロモンの偽証」。
文庫版だと6冊に及ぶ長編ですが、ようやく6分の1読了しました!
(かなり前に映画版を観たのですが、内容全く覚えていない・・・笑)

学校内で発生した同級生の転落死の謎を、生徒のみによる校内裁判で追求しようとする中学生たちを描く物語。
物語の節々にアナログな表現が多々あったので、バブル終末近くの1990年代あたり?
文庫の発行が2025年頃だったので、「なぜ時代背景が1990年代なのかな~」とそのタイムラグを不思議に思いましたが、原作自体は2002年に小説新潮にてスタートしたらしいです。
(それでもタイムラグあるけども・・・)

時代が時代なだけに、中学生ヤンキーの粗暴な感じや校内暴力などがガッツリと描かれていました。
僕の中学時代は2000年はじめ頃ですが、地元には中学生ヤンキーがいっぱいいたな~
ただ、大人になって思いますが、中学生のヤンキーって大人からしてそんなに怖いものなんですかね?
中学生なんてまだまだ子どもですし、腕力ひとつとってもいざとなったら絶対に大人のほうが強いでしょ(笑)
このご時世なので、さすがに体罰で粛清することはできないでしょうが、、、「中学生にビビる大人」という構図には納得できないなぁ。

全6巻もあるので、1巻目は登場人物それぞれの背景や性格など、本当にサワリだけでした。
なので、まだまだ面白いかどうか、全貌は読めませんね・・・
伏線がかなりあるため続きは気になりますが、1巻目からのインパクトは今のところあまり感じられませんでした。



【あらすじ】
クリスマス未明、一人の中学生が転落死した。
柏木卓也、14歳。彼はなぜ死んだのか。殺人か。自殺か。
謎の死への疑念が広がる中、“同級生の犯行”を告発する手紙が関係者に届く。

さらに、過剰報道によって学校、保護者の混乱は極まり、犯人捜しが公然と始まった。
一つの死をきっかけに膨れ上がる人々の悪意。それに抗し、死の真相を求める生徒達を描く、現代ミステリーの最高峰。


【メモ】
p229
なぜかしら今、涼子は柏木卓也が怖い。とてもとても怖い。
早くあたしから離れて。そう願う。
でも、彼が離れていかないことも知っている。
そう、正確に言うならば、柏木卓也は涼子に憑いたのではなく、元々あった涼子のある一面を掘り出したのだ。
死によって。


p429
幼さは、若さは、すべて同じ弱点を持っている。「待てない」という弱点を。
事を起こせば、すぐに結果を見たがる。
人生とは要するに待つことの連続なのだという教訓は、平均寿命の半分以上を生きてみなければ体感できないものなのだ。
そして、うんざりすることではあるけれど、その教訓は真実なのだと悟るには、たぶん残りの人生すべてを費やすまでかかるのだ。

三宅樹里も待てなかった。
だから、自分ではよく考えているつもりでも、その思考は上滑りしているだけだった。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 小説
感想投稿日 : 2021年4月12日
読了日 : 2021年4月12日
本棚登録日 : 2021年4月12日

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