嫌われる勇気 自己啓発の源流「アドラー」の教え

  • ダイヤモンド社 (2013年12月13日発売)
4.24
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4

【感想】
アドラー心理学に関する本。これもYouTuber「まこなり社長」のオススメの1冊でした。
本当に奥深いなぁと読んでいて思いました。
ただ、正直なところ、本書を1回読んだだけでは、「アドラー心理学の真理」に私は到達できなかったように思います。。。
(アドラー心理学を習得するのには今の自分の年齢の半分くらいの時間が掛かると言われていますが、納得です。)


そもそもアドラー心理学とは、「他者を変えるための心理学ではなく、自分が変わるための心理学」という定義があるようです。
この大元の定義から「他人の目ばかり気にするな」という考え方につながり、拠ってタイトルも「嫌われる勇気」となったのでしょう。
他の心理学(ユングなど)と大きく異なるのは、この考え方を用いて他人の心を読もうとするのではなく、「自分の考え方を変える」というある意味自己啓発的なニュアンスを持っている点なのかもしれません。

ただ、本書はアドラー心理学について「プレゼン形式」ではなくて、反対派(?)の意見を交えた「対話形式」となっているため、どうしても冗長となり要点を掴むのが難しかった・・・・
そもそも「青年」の反論は本作に必要なのかな?
読み手の僕としては、アドラー心理学がどんなものかをザックリ知りたかっただけなので、不要かなーと思いました。
ていうか、なによりも「青年」の反論1つ1つがヒステリックすぎてイタイというか単純にウザイ(笑)
アドラー心理学を知るイイきっかけにはなるけども、もう少し深く知りたい読者にとっては少々物足りない1冊となるかもしれません。

また、繰り返しになるが、もはや哲学なのじゃないかというレベルに奥が深い・・・・
他人に関心を持ちすぎるなという反面、決して自己中心的になれというわけでもない。
「自己への執着」を「他者への関心」に切り替える事が鍵となる。
「他人から何かを与えてもらう」のではなくて「自分が他人に何で貢献できるのか」を考える。
だけど、他人の目を気にしちゃいけない。
などなど・・・・書いてあることが相反する事ばかりなので、「結局、何をすればいいの?」って頭が混乱してしまいました(笑)

結局、本書の後半にあった、「(目の前の小さな共同体から)嫌われる勇気」が重要ポイントなのかなーと思いましたが、一度読んだだけでは理解しきれないくらい奥が深い1冊でしたので、再度チャレンジしようと思います。


【内容まとめ】
0.アドラー心理学とは、「他者を変えるための心理学ではなく、自分が変わるための心理学」

1.世界はシンプルであり、人生もまたシンプルである。
だから、人は変われるし、誰しも幸福になることができる。
それなのに、自分の主観が入るせいで、自らが世界や人生を複雑なものにしてしまっている。

2.「原因論」と「目的論」
アドラー心理学では、トラウマ(原因論)を明確に否定している。
原因と結果の因果律として、結果に対して多少の影響はあるとしても、それがすべて結びつくわけではない。
一方、目的論は、自身の「目的」に対して後付けで「原因」を探し出し、ある種強引に結びつけていることを言う。

3.人間の悩みは、すべて対人関係の悩みである
アドラー心理学の根底に流れる概念。
他者の存在を前提として、比較してしまうから悩みが生じる。
また、対人関係を消してしまうことなど出来ないからこそ、悩みが生じる。

4.すべての人は、「同じではないけれど対等」
健全な劣等感とは、他者との比較の中で生まれるのではなく、「理想の自分との比較」から生まれるもの。
対人関係の軸に「競争」があると、人は対人関係の悩みから逃れられず、不幸から逃れることができない!

5.権力争いに乗ってはいけない。いかなる挑発にも乗ってはいけない。
もしも相手に面罵されたなら、その人の隠し持つ「目的」を考えよう。
もし相手が「勝つことによって自らの力を証明したい」ことが目的ならば、それはもはや「権力争い」へと突入してしまう。
相手の目的が議論ではなく権力争いであるなら、いち早く争いから降りてしまえばいい。

6.「怒りという道具に頼る必要がない」と思え!
怒り以外のコミュニケーションツールを用いよう!

7.アドラー心理学の鍵概念「共同体感覚」
あなたは共同体の一部であって、中心ではない。
「わたし」は世界の中心に君臨しているのではない。
「わたし」は自分自身の人生の主人公でありながらも、あくまで共同体の一員であり、全体の一部でしかないのです。

だからこそ、他者を「わたしのために何かしてくれる人」と捉えず、「わたしはこの人に何を与えられるのか?」を考えなければならない。
所属感、自らの居場所は与えられるものではなく、自分の手で獲得していくものである。

8.アドラー心理学の鍵概念「共同体感覚」
「自己への執着」を「他者への関心」に切り替える。
あなたは共同体の一部であって、中心ではない。「わたし」は世界の中心に君臨しているのではない。
「わたし」は自分自身の人生の主人公でありながらも、あくまで共同体の一員であり、全体の一部でしかないのです。

だからこそ、他者を「わたしのために何かしてくれる人」と捉えず、「わたしはこの人に何を与えられるのか?」を考えなければならない。

所属感、自らの居場所は与えられるものではなく、自分の手で獲得していくものである。

9.(目の前の小さな共同体から)嫌われる勇気
目の前の小さな共同体に固執することはありません。もっと大きな共同体が、世には必ず存在します。
もしあなたが異を唱えることで崩れる程度の関係なら、最初からなくても良い。
関係が壊れることだけを恐れて生きるのは、他者のために生きる、きわめて不自由な生き方なのです。



【引用】
p115★
・アドラー心理学とは、「他者を変えるための心理学ではなく、自分が変わるための心理学」です。


p3
・世界はシンプルであり、人生もまたシンプルである。人は変われる、誰しも幸福になることができる。
それなのに、自分の主観が入るせいで、自らが世界や人生を複雑なものにしてしまっている。


p30
・「原因論」と「目的論」
自分の過去の経験によって決定されるのではなく、経験に与える意味によって自分を決定する。
アドラー心理学では、トラウマ(原因論)を明確に否定している。
原因と結果の因果律として、結果に対して多少の影響はあるとしても、それがすべて結びつくわけではない。
一方、目的論は、自身の「目的」に対して後付けで「原因」を探し出し、ある種強引に結びつけていることを言う。


p52
人は色々不満があったとしても、「このままの自分」でいることのほうが楽であり、安心である。
つまり、変わる「勇気」が足りていない。
だから変わることが難しい。


p71
・人間の悩みは、すべて対人関係の悩みである
アドラー心理学の根底に流れる概念。
他者の存在を前提として、比較してしまうから悩みが生じる。
また、対人関係を消してしまうことなど出来ないからこそ、悩みが生じる。


p76
・我々を苦しめる劣等感は「客観的な事実」ではなく「主観的な解釈」なのである。
事実はあくまで客観的である事が多いが、その事実に対して自分自身がどのような意味づけを施すか、どのような価値を与えるか?

「客観的な事実」は動かせないが、「主観的な解釈」はいくらでも動かすことができる!


p79
・「優越性の追求」と「劣等感」
優越性の追求:向上したいと願う、理想の状態を追求する。

人は誰しもギャップを感じ、その状態から理想に向けて脱したい、向上したいと願う普遍的な欲求を持っている。
アドラーは、「優越性の追求も劣等感も病気ではなく、健康で正常な努力と成長への刺激である」と述べている。
劣等感もまた、使い方を間違えなければ努力や成長の促進剤となる。

「劣等感」と「劣等感コンプレックス」を混同しないように。
劣等感それ自体が悪ではない。自らの劣等感をある種の言い訳に使い始める「劣等感コンプレックス」こそが悪なのである!


p86
・優越コンプレックス
→あたかも自分が優れているかのように振る舞い、偽りの優越感に浸る事。
「劣等感コンプレックス」に我慢できなくなってしまった時、「できない自分」を受け入れる事も改善するアクションもしなかった場合、「優越コンプレックス」に人は陥ってしまう。

すぐに自慢話に興じてしまうのも、一種の「優越コンプレックス」である。
自信がないからわざわざ言葉にしてしまい、ことさら誇示してしまうのである。


p92★
・すべての人は、「同じではないけれど対等」
健全な劣等感とは、他者との比較の中で生まれるのではなく、「理想の自分との比較」から生まれるもの。

対人関係の軸に「競争」があると、人は対人関係の悩みから逃れられず、不幸から逃れることができない!


p104
・権力争いに乗ってはいけない
いかなる挑発にも乗ってはいけない。
もしも相手に面罵されたなら、その人の隠し持つ「目的」を考えよう。
もし相手が「勝つことによって自らの力を証明したい」ことが目的ならば、それはもはや「権力争い」へと突入してしまう。
そして自身が勝ったとしても、そこで終わらず次の段階である「復讐」「報復」という段階に突入してしまうだけである。

ではどうする?
相手の目的が議論ではなく権力争いであるなら、いち早く争いから降りてしまえばいい。
「怒りという道具に頼る必要がない」と思え!
怒り以外のコミュニケーションツールを用いよう!


p109
・アドラー心理学「人間の行動面と心理面のあり方について」
行動面の目標
→自立すること、社会と調和して暮らせること。
心理面の目標
→「私には能力がある」という意識、「人々は私の仲間である」という意識


p158
なぜ「承認欲求を得たい」という不自由な選び方を選んでしまうのか?
それは、誰からも嫌われたくないからである?


p168
・他人を変える事は不可能
わたしは「父を変えるため」に変わったのではありません。それは他者を操作しようとする、誤った考え方です。
わたしが変わったところで、変わるのは「わたし」だけです。その結果として相手がどうなるかはわからないし、自分の関与できるところではない。

他者を操作する手段として自分の言動を変えるのは明らかに間違っています。


p181
・「自己への執着」を「他者への関心」に切り替える。
「他者からどう見られているか」ばかりを気にかける生き方こそ、「わたし」にしか関心を持たない自己中心的なライフスタイルなのです。
「わたし」に執着している人は、すべて自己中心的です。

p187
・アドラー心理学の鍵概念「共同体感覚」
あなたは共同体の一部であって、中心ではない。
「わたし」は世界の中心に君臨しているのではない。
「わたし」は自分自身の人生の主人公でありながらも、あくまで共同体の一員であり、全体の一部でしかないのです。

だからこそ、他者を「わたしのために何かしてくれる人」と捉えず、「わたしはこの人に何を与えられるのか?」を考えなければならない。

所属感、自らの居場所は与えられるものではなく、自分の手で獲得していくものである。


p194★
・(目の前の小さな共同体から)嫌われる勇気
目の前の小さな共同体に固執することはありません。もっと大きな共同体が、世には必ず存在します。
もしあなたが異を唱えることで崩れる程度の関係なら、最初からなくても良い。
関係が壊れることだけを恐れて生きるのは、他者のために生きる、きわめて不自由な生き方なのです。


p198
・賞罰教育の否定
アメとムチどちらにしても、背後にある目的は「操作」であり、そこには縦の関係が存在する。
しかしアドラー心理学では、あらゆる「縦の関係」を否定し、すべての対人関係を「横の関係」とすることを提唱している。
そもそも劣等感とは、縦の関係の中から生じてくる意識である。
「同じではないけれど対等である」という横の意識を築くことが必須。


p202
・「命令」ではなく「勇気づけ」を。
横の関係に基づく援助のことをアドラー心理学では「勇気づけ」と読んでいる。
課題に立ち向かうのは本人であり、またその決心とアクションも本人である。
「馬を水辺に連れていくことはできるが、水を飲ませることはできない」というアプローチ。


p204
・いちばん大切なのは、他者を「評価」しないということ。
横の関係を築けているのならば、素直な感謝や尊敬、喜びの言葉が出るはずである。
人は感謝の言葉を聞いた時、自らが他者に貢献できたことを感じる。

そして、人は「自分には価値がある」と思えた時にだけ、勇気を持てる!
他者からの評価ではなく、自らの主観によって「わたしは他者に貢献できている」と思えたときに、人は自らの価値を実感できるのである。


p212
「誰かが始めなければならない。他の人が協力的でないとしても、それはあなたには関係ない。あなたが始めるべきだ。他の人が協力的であるかどうかなど考えることなく」


p252
・結局のところ、「幸福とは貢献感」なのである。
「わたしは共同体にとって有益である」「わたしは誰かの役に立っている」という思いだけが、自らに価値があることを実感させてくれるのだ。


p263
・計画的な人生など、必要か不要かという以前に、そもそも不可能である。
人生は「いま」という刹那の連続なのである。
人生は「線」ではなく「点」の連続なのである。
よって我々は、「いま、ここ」に生きることしかできない。


p275
・この刹那を真剣に生き切る勇気を持とう。
人生における最大の嘘、それは「いま、ここ」を生きないこと。
過去あるいは未来を見て、人生全体にうすらぼんやりと光を当てて、なにか見えたつもりになること。
そうすることで、かけがえのない刹那の「いま」を逃してしまっている。


p278
・一般的な人生の意味はない。人生の意味は、あなたが自分自身に与えるものだ。
刹那の連続の人生は、何が起こるかわからない事と常に隣合わせ。だからこそ、この一瞬一瞬を意識して生きよう。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 名作(再読の価値がある本)
感想投稿日 : 2020年2月14日
読了日 : 2020年2月14日
本棚登録日 : 2020年2月14日

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コメント 3件

八幡山書店さんのコメント
2021/02/26

きのPさんの読まれたこの本買ってみました!読んだらまた感想書きます!
もしよろしければ教えて頂きたいのですが、先日感想書いた反応しない練習と似たような仏教の教えとマインドフルネスに触れた本を探しています。何か良い本はありますか?

きのPさんのコメント
2021/02/26

八幡山書店さん
コメント有難うございます!ベストセラーの名に恥じない良い作品だと思いますので、お楽しみ下さい!(^^)

「反応しない練習」に似た作品、ですか…
すいませんが、「仏教的思想×マインドフルネス」だと、僕はこの作品しか思い当たりません…
「マインドフルネス」に特化した作品であれば色々とありますが、今のところオススメできるのは「反応できる練習」だけですね(>_<)

ちなみに、マインドフルネスではありませんが、ストレスマネジメントやメンタルケアのための本、いわゆる自己啓発関連でしたら沢山オススメがあります!

ジョンキムさんの「時間に支配されない人生」、(少々クセがありますが)見城徹さんの「憂鬱でなければ仕事じゃない」、あとは読んで1番スカっとしたのはテストステロンさんの「筋トレが最高のソリューション」シリーズですね(^^)

いずれも好みがあると思いますので、ご参考頂ければ幸いです。

八幡山書店さんのコメント
2021/02/26

返信ありがとうございます!
なるほど…それだけこの本が価値あるということになりますね。
筋トレが最高のソリューションは気になってました!その他紹介してもらったのも含めて読んでみます^_^

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