随分長い時間かけちゃいました。
正直しんどかった。何だろう、独特の書き方というか表現というか。
たまに話がかなり飛躍して主題を見失うこともしばしば・・・。
解読するのにかなり時間を要してしまった。というか、多分理解していない方が多い気もする。
エッセイという肩書きが書かれているが、どちらかと言うと紀行文のような気がしないでもない。
「風の巡る場所」という章がある。
その中の『Ⅱ』のパートで著者が不用意にカメラを向け、写真を撮り反省したエピソードが載せられている。これには「ギクリ」とした。観光地はもちろん、カメラ付きケータイの出現でところ構わずカシャカシャとやってしまう癖がある人は僕だけではないだろう。
写真というのは、その風景や日常の瞬間を切り取り保存するもの。もちろん思い出の数は多い方が良いのだけれど、そんなに気軽に切り取ってはいけない瞬間だって存在する。
特に海外でならばなおさらだ。個人情報保護法などというモノが制定されないとプライバシーも守れなくなってしまった世の中。プライバシーについては「守る」だけでなく「他人のを犯さない」ことについてももっと敏感になった方がよい。
もうひとつ。「物語を」という章が最後に書かれている。
導入部に傷ついたカラスの話が書かれている。
「・・・あんたは死ぬ」
この一文にショックを受けた。
著者と同じ場面に遭遇したら僕もこのカラスを助けはしないだろう。
しかし、その時の感情を文字にするとこんなにも残酷なものかと思ってしまう。
自然の摂理。
あたりまえの法則。
運命。
弱肉強食
何とでもいえる。
傷ついた動物、萎れた草花。目の前を通り過ぎたからといって、そのものすべてを救うことはできない。それが現実と言う名の厳しさだ。
キレイ事と言われるかもしれない。実際にそうかもしれない。
でも思う。
「助けたい」
その気持ちは捨てたくないと。
最後になぜ今回これを読んでいるか。
「軽く読めるエッセイ」をと友人に依頼したはずが・・・。「お薦め」の名の下に借りたものはこれ。
全然ライトじゃなかったけどありがとうT松さん。
自分からは絶対読まない分野なので勉強にもなりました(笑)。
KEY WORD>>ぐるりのこと(著:梨木香歩)
イギリスのセブンシスターズの断崖でドーバー海峡の風に吹かれながら友と交わした会話、トルコのモスクでのへジャーブをかぶった女たちとの出会い、イラク戦争の衝撃、少年少女による殺害事件への強い思い――喜びも悲しみも深く自分の内に沈めて、今いる場所から考えるエッセイ(amazon.co.jpより)。
- 感想投稿日 : 2010年2月11日
- 読了日 : 2010年2月11日
- 本棚登録日 : 2010年2月11日
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