このころから清は清だった、などと書けばエラそうだが、そう思ってしまったのだから仕方ない。
というよりそう思わせてしまう作家性が、漏れ出しているのだ。
極力抑えられた自然光と、自在に動く影。昼だか夜だか。
靴音。
無駄に仰々しい音楽。
ゴシックすなわち廃墟趣味が、なんとバブルのビルの中で顕現していく。
元力士なのにガリガリという魁偉な容貌が、自分のイヤリングに執着していると知れば脅えざるを得ない。
半透明のカーテン(「回路」)。
鉄扉(もちろん「悪魔のいけにえ」)。
殺し方殺され方も見どころだが、最もいやーなのは、逃げ込み閉じ込められたロッカーで、力士的激突で圧死させられるところ。もちろん血がどろー。
(どうして殺すの?)それを知るのは勇気がいるぞ、俺のことを忘れるな、あんたたちとは違う時間が俺には流れている……。
「ノーカントリー」と同じく殺人鬼アイコンの誕生である。
ちなみに、ナチスの軍服みたいだなぁと思っていたが、それよりも似ているのは「帝都物語」の加藤だ!
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
邦画
- 感想投稿日 : 2017年5月17日
- 読了日 : 2017年5月17日
- 本棚登録日 : 2017年5月17日
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