戦前に大阪天王寺師範学校で教鞭を執り「国民教育の師父」と謳われた哲学者・森信三氏の講義録。氏の後継者育成に賭ける覚悟、端的に本質を突く金言の数々、志に生きるとは何たるかを時代と空間を超えて学ぶことができる。本書の内容は若人より中年になったほうが身につまされる思いで響くであろう。むしろ若人は残念ながら氏の言葉の思いや価値に気付くことは難しいかもしれない。しかし、ほんの一握りの琴線を響かせた若者が国を引っ張る傑出たる豪傑になるのかもしれない。これほど優れた思想家が旧満州の建国大学に召集され、国家としては太平洋戦争に突入していったことは誠に遺憾。まさに老若男女問わない教育の大切さを痛感する。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
学術/思想
- 感想投稿日 : 2023年3月31日
- 読了日 : 2023年3月31日
- 本棚登録日 : 2023年2月25日
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