産霊山秘録 (祥伝社文庫)

著者 :
  • 祥伝社 (2008年4月1日発売)
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本棚登録 : 65
感想 : 7
5

荒唐無稽伝奇娯楽小説の傑作。文庫版で500ページを超える大作だが、成田からジャカルタの飛行機の中で一気に読めた。

本作は連作小説という形式をとっていて、主人公は皇室の存続を第一の使命とする「ヒ」一族。彼らは、テレポートやテレパシーの能力を持つ異能集団。本作は戦国時代、幕末、終戦の混乱期、冷戦といった動乱期の中での彼らの活躍および暗躍を描く。

SF的要素もあるが、本作はまさに伝奇小説。例えば本能寺の変にはこういった裏の事情があったとか、アポロ11号の月面着陸のとき、なぜ中継にトラブルが発生したのかとかというエピソードが中心。ややもすれば、噴飯ものになりそうな題材であるが、話は練りに練られていて、妙に納得してしまった。
また、戦争のない平和な世の中を目指す「ヒ」一族であるが、内部には悲しい矛盾を持っていて、ストーリーに厚みを与えている。
とにかく面白い。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 時代小説
感想投稿日 : 2014年5月31日
読了日 : 2014年5月31日
本棚登録日 : 2014年5月31日

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