荒唐無稽伝奇娯楽小説の傑作。文庫版で500ページを超える大作だが、成田からジャカルタの飛行機の中で一気に読めた。
本作は連作小説という形式をとっていて、主人公は皇室の存続を第一の使命とする「ヒ」一族。彼らは、テレポートやテレパシーの能力を持つ異能集団。本作は戦国時代、幕末、終戦の混乱期、冷戦といった動乱期の中での彼らの活躍および暗躍を描く。
SF的要素もあるが、本作はまさに伝奇小説。例えば本能寺の変にはこういった裏の事情があったとか、アポロ11号の月面着陸のとき、なぜ中継にトラブルが発生したのかとかというエピソードが中心。ややもすれば、噴飯ものになりそうな題材であるが、話は練りに練られていて、妙に納得してしまった。
また、戦争のない平和な世の中を目指す「ヒ」一族であるが、内部には悲しい矛盾を持っていて、ストーリーに厚みを与えている。
とにかく面白い。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
時代小説
- 感想投稿日 : 2014年5月31日
- 読了日 : 2014年5月31日
- 本棚登録日 : 2014年5月31日
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