M1

著者 :
  • 講談社 (2000年3月1日発売)
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感想 : 47
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元商社マンの高校教師と女子高生。美人のやり手経営コンサルタント。
女子高生の父親が経営する工場が不渡りを出したことから物語が始まる。
マネーロンダリング、私募債、そして架空通貨の田神札。
池井戸 潤 得意の金融ネタが物語を進める。

一企業が発行した紙券が架空通貨として流通する異常な街、田神町。
しかしそれは金本位制を崩壊させた一国家の発行券が流通する現実世界と変わりない。
通貨は、等価交換できるから価値がある。
この未来の信用がなくなれば、すべての通貨は紙くずと化す。

硬貨に裏表があるように、金にも常に裏の働きがある。裏の働きとは、
金を持つ者の心を支配するという働きだ。金の裏と表は、夢と絶望という言葉に置き換えてもよい。
金策に人生を縛られ、翻弄される人たち。

池井戸 潤の江戸川乱歩賞 受賞後の第一作となる。半沢直樹、下町ロケット以前、2000年の発表作。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 小説
感想投稿日 : 2017年11月18日
読了日 : 2017年11月18日
本棚登録日 : 2017年11月18日

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