崖の上のポニョ [DVD]

監督 : 宮崎駿 
  • ウォルト・ディズニー・ジャパン株式会社 (2012年1月19日発売)
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家出して海岸にやって来た魚の女の子ポニョは
頭を空き瓶に突っ込んで困っているところを、
5歳の少年 宗介に助けてもらいます。
宗介に出逢ったことをきっかけに
人間になりたいと願うポニョですが、
その強い思いが、世界を巻き込んでいくことに
なります。

ナウシカ、ラピュタ始め、宮崎駿作品は
大空を自由に滑空してきましたが
本作は大海原と大海底のスペクタルで魅せます。

せめて映画のなかだけでも
素晴らしいものを見せたい。
それが俺の仕事だ。

と宮崎駿が言ったとか。
躍動感、爽快感、ワクワク感。
冒険ファンタジーの世界観。
素直で明るく前向きなかわいい子供たち。
職人気質でカッコいい大人たち。
これこそ宮崎駿作品の魅力です。

本作品は物語の説明がほとんどありません。
なんでみんなポニョをすんなり受け入れてるの?
なんでリサは津波の中、宗介連れて帰宅したの?
なんで5歳の宗助が1人でボート漕いでるのに
大人達はそのまま行かせるの?
なんで町は水没したの?
なんで古代生物がいるの?
なんで月が落ちてくるの?
グランマンマーレとリサは何を話してたの?
世界の綻びって?世界に穴を開けたってなに?

「僕いま忙しいから後でね。」
物語からいちいち説明が取っ払われたことで
作品はノンストップで勢いがうまれています。
説明のされないこれらのシーンは
何のためにあったのか?
それは躍動感、爽快感、ワクワク感のある
動画を見せるためだったのかも知れません。

まるで背中に乗せられて世界を翔んで廻り、
次から次へと流れる景色を眺めている様でした。

物語に引き込まれるのは、やはり、
この宮崎駿の世界観と画力なのでしょう。

加えて、5歳児のポニョと宗介の無垢な声。
私が歳を重ねるほどに可愛さが増します。
「火垂るの墓」の節子レベルです。

因みに、数々の不思議な現象は、
「生命の水」を浴びたポニョが
取り込んだ魔法をどんなものか分からないまま
無意識に見境なく使用したせいのようです。

グランマンマーレがリサに了承をとり、
宗介にポニョへの思いを確認して、
ポニョと宗介が結婚する事で
ポニョは人間になり魔力を失い解決されました。

世界は救われ、宗介とポニョの願いも叶い、
耕一は無事にリサの元に戻り、
おばあちゃん達は健脚に戻り、
フジモトはいい人になりました。
すべて望み通りに収まって、みんなハッピー。
幸福感に包まれて物語は幕を閉じました。

想い人 逢いたさに魚から人間になって、
相手にされなくなったら泡になってしまう悲しい
設定は「人魚姫の伝説」そのものですね。

老人ホームの車椅子のおばあちゃん達が、
蛍光色に輝く大クラゲの傘下で走り回るシーンは
「アビス」を思い出した。

フジモトが載る潜水艦は「海底二万マイル」。

ポニョの本名は北欧神話の「ワルキューレ」。

グランマンマーレ。海の女神。大いなる母性。

時空を越えて宮崎駿の好きな
世界観がふんだんに盛り込まれ、
宮崎駿作品の魅力がたっぷりつまった
ファンタジー作品でした。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: ジブリ
感想投稿日 : 2021年9月9日
読了日 : 2021年9月10日
本棚登録日 : 2021年9月9日

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