密林の語り部 (岩波文庫)

  • 岩波書店 (2011年10月15日発売)
3.98
  • (52)
  • (44)
  • (35)
  • (7)
  • (2)
本棚登録 : 635
感想 : 72
4

神話や民話、民間伝承などが好きなので、語り部パートを特に面白く読んだ。
不思議だなと思ったのは、マチゲンガ族の自殺率が高いということ。寒い地方は鬱が多く、自殺率が高いのも分かる気がするけど、アマゾンのようなただでさえ生存率の低そうな地域で自殺率も高いって…?しかも外敵に対し受け身で抵抗せず逃げるように移住するだけ。よくそれで部族が存続してきたなあ。
とはいえマチゲンガ流哲学の中にはけっこうしっくりくるものもあった。怒りをよしとしないところとか、《人が何をし、何をしないかが問題だよ》とか。
日本で語り部というと、自然災害や戦争の記憶を語り継ぐ人が真っ先に思い浮かぶけど、そういう特定の負の記憶だけじゃなく、歴史や伝承といった地域の多様な話をできる人ってもうほとんどいないよね。テクノロジーに頼れば頼るほど、失われていくものもあるんだな。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 海外文学
感想投稿日 : 2018年3月8日
読了日 : 2018年3月5日
本棚登録日 : 2018年2月27日

みんなの感想をみる

コメント 0件

ツイートする