最初は、酒井さんの絵柄に少々違う感じを抱いたが(1999年の作品だからでしょうか)、読んでいくうちに、そんなことはどうでもよくなっていて、終いには、この絵柄だからしっくりくるのだと、思えてきました(特に、光と影の独特なコントラストの美しさは、読み直すにつれ、より印象に残りました)。
子供の、お母さんを愛しく思う純粋な気持ちが、本能的なものであることに涙し、お母さんが如何に頼りになる素敵な存在なのかを、改めて教えてくれる、正に読み聞かせにぴったりの本だと思いました。
しかも、それらを、子供とよるくまの、それぞれの視点から二重に教えてくれる物語には、子供の夢のある、想像力の素晴らしさを感じさせられると共に、それに付き合ってくれるお母さんが、更にその世界を、楽しく広げてくれているようにも思われて、いつの時代にも、そうした世界が存在していればいいなと思えた時、この絵本は不朽の名作なのではないかと感じました。
何度読んでも、すごく完成された印象を抱かせてくれる、この絵本。
酒井駒子さんは画だけではなく、物語も素晴らしいことを、改めて実感いたしました。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
絵本
- 感想投稿日 : 2022年3月6日
- 読了日 : 2022年3月5日
- 本棚登録日 : 2021年7月10日
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