下町ロケット

著者 :
  • 小学館 (2010年11月24日発売)
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血湧き肉躍る物語です

下町ロケットシリーズの1冊目
2011.11発行。字の大きさは…大活字。

ロケットエンジンのキーパーツであるバルブシステムの開発に賭ける佃製作所の奮闘が描かれています。

この物語は、宇宙ロケットの打ち上げを行う種子島の宇宙科学開発機構、開発主任・佃航平が、宇宙衛星打ち上げ用ロケット「セイレーン」の発射に失敗して責任を取って辞職する、所から始まります。

そして、父の死亡に伴って東京の下町で家業のエンジン開発を行う佃製作所の社長として7年の歳月が過ぎたとき。会社の売上高の1割を占める主要取引先であり、日本を代表する機械メーカー「京浜マシナリー」から、エンジンの内製化を理由に取引を切られようとしています。

そんな時に、競争相手の「ナカジマ工業」から特許侵害の訴状が届きます。京浜マシナリーの売り上げ減少で営業赤字に陥っている所に、ナカジマ工業からの特許侵害の裁判で、佃製作所は、必要な運転資金3億円の調達をメインバンクの白水銀行から断られます。

白水銀行から出向してきている殿村部長が、3億円の調達を他の銀行で探すが、何処もメインバンクが手を引いたところに手を差し伸べる所がありません。そして、売上減と裁判の記事が新聞に報じられると、取引先が不安になり離れて行きます。もう裁判の判決を待たずに資金繰りが行き詰まり倒産の危機が囁かれる様になります。ナカジマ工業の作戦は、裁判を引き延ばし、佃製作所の倒産前に、救済して子会社化して、会社を乗っ取ることにあります。

そんな時に、天下の帝国重工が、宇宙ロケットの打ち上げを行う「スターダスト計画」の主要ロケット部品のバルブの特許の開発で佃製作所に先を越されたのが分かり。担当の財前部長が、高圧的に特許の買い取りか、それが駄目なら特許の独占的使用を打診してきますが。

佃社長は、製品の供給を打診すると、工場を見た財前部長が、その優秀さに驚愕し、帝国重工に帰り、直属の上司である水原本部長に佃製作所の部品の購入を提案しますが。帝国重工では、主要部品は内製化する方針のため部長の採決が下りず、担当者を変えて佃製作所との交渉を進めようとしますが、これが大変な事になります。

【読後】
いきつく間もなく次々に山場があり、飽きることなく、テンポ良く、進んで行きます。会社の倒産の危機が来るなか、佃社長の信念が、社員に行き渡り、京浜マシナリーの売上減をカバーし、敏腕弁護士の活躍で裁判も有利になるとき、突然の新聞報道により、驚愕の和解金が入ります。売上高100億円弱の会社に56億円の和解金が入ったのです。今迄の会社の団結が崩れ社内がバラバラになります。

そんななか佃社長の信念が、帝国重工への部品供給の道を開いて行きます。東京の大田区で資本金三千万円、売上高百億円弱の中小企業を舞台に、この物語が書かれています。
音読で読んでいて、気持ちが入り、高揚し、とても楽しく読めましたが、あまりにも多くのことが書いているので感想を書くのが、なかなかできずに困っていました。本の返却期限が来て、やっと書くことが出来て、ほっとしています。そして感想を書き終わって体が熱くなっています。

【連載、直木賞、テレビドラマ化】
「週刊ポスト」2008年4月18日号~2009年5月22日号まで連載され。2010年11月に単行本が小学館より刊行されました。大活字本は、この単行本を定本にして2011年11月に発行されたものです。第145回(2011年上半期)直木三十五賞(通称「直木賞」)受賞作品、および、第24回(2011年)山本周五郎賞候補作品です。これを原作にテレビドラマ化・ラジオドラマ化されました。

【音読】
2021年3月10日から3月26日まで音読で読みました。底本が、小学館のため登録は、小学館「下町ロケット」で行います。
2021.03.26読了
2021.04.11感想を書く

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: その他
感想投稿日 : 2021年4月11日
読了日 : 2021年4月11日
本棚登録日 : 2021年3月9日

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