困ってるひと

著者 :
  • ポプラ社 (2011年6月15日発売)
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本棚登録 : 3576
感想 : 767
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難病にかかってしまった25歳女子の闘病記。高野秀行さんがプロデュースしてるだけあって、構成の仕方とか、笑いの盛り込み方とかが高野さんテイスト。高野さん本が好きな人は好みだろうし、高野さんの本よりはもう少し幅広い人にオススメできるかもしれない。
かなりのユーモアを交えて書いてあって、サラサラと読めてしまうけれども、内容はかなり壮絶。こうして笑いを交えて書かないと、相当厳しい物語にしかならないだろう。ここまで昇華させてる著者に喝采。
この難病に掛かるのが彼女ではなく自分だった可能性もゼロでは全然ないし、うちの息子に降りかかってくる可能性だってあるわけで、と思うとゾッとする。

少しだけ、ネタバレ気味に残念だったところは、最後、在宅治療に切り替えて退院するときに、クマ先生が「社会制度に頼ってはいけない」と言っているのを、真っ向から「先生達は古い」と言う事を聞いていない(ようにみえる)のだけれど、先生たちは確かに患者自身ではないけれども、多くの患者を見てきているハズで。なぜ彼らがそこまで「制度に頼るな」というのか、その理由を少し聞いて欲しかったなぁと思う。

この本を買ったことで、微々たるモノでも彼女の生きる糧の足しになれば。一度読む価値がある本だと思います。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2011年7月5日
読了日 : 2011年7月2日
本棚登録日 : 2011年7月5日

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