うまいものである。
深川にあたらしくできた料理屋にはお化けが出る。
そのお化けとなかよくなった料理屋の十二歳の娘おりんは、お化け達が成仏できるよう、お化け達の過去を調べはじめる、という筋書き。
下巻の解説で、菊池秀行は「健気(けなげ)」こそ、宮部みゆきが書き続けている、人間のかくあるべき姿である、と書いている。そのとおり、健気な少年少女を描くことが宮部は実にうまい。
悪の総大将、興願寺の和尚は、仏を求めて人を殺したという。どこまで堕ちたら仏は救ってくれるのか、それが知りたくて娘も井戸に落とした。──このテーマで重厚怪奇な小説が書けそうだが、宮部はそこには行かない。
P71:「瓦灯(がとう)」:灯りをともす陶器製の容器。
「江戸庶民の間では素朴な素焼きの瓦灯も広まったようです。これは人が起きている間は釣り鐘形をした素焼きの陶製の器の上で火を灯し、寝るときは火皿を釣り鐘の中に納めるような構造になっていました。」http://research.kahaku.go.jp/rikou/akari/sub2.htm
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- 感想投稿日 : 2020年11月2日
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- 本棚登録日 : 2020年11月2日
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