本屋さんのダイアナ (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社 (2016年6月26日発売)
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本棚登録 : 6596
感想 : 525
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「大穴」と書いて「ダイアナ」。ものすごいキラキラネームを付けられた主人公。母親は16歳で彼女を出産、父親が誰なのかは謎。キャバクラに勤め、シングルマザーとしてダイアナを育てている。この名前のせいでどれだけ理不尽な目に遭ったことか。しかも自分のことを「ママ」や「お母さん」ではなく「ティアラ」と呼ばせる母親は、ダイアナの髪をキンキラキンに染めてしまう。見た目のせいで誰もダイアナに寄りつこうとしない。ダイアナの唯一の楽しみは本を読むこと。大人になったら自分の好きな本だけを集めて本屋を開きたい。そんな夢を持つダイアナが小学3年生になったとき、初めて友だちができる。それは正真正銘のお嬢様、彩子。正反対の暮らしを送るふたりだが、実は彩子も本が大好きで、かねてから図書館でダイアナを見かけ、話しかけるタイミングを図っていたのだ。

こんなふたりの十余年。永遠に続くかと思われた友情も、あるとき勘違いが原因で彩子はダイアナに絶交を言い渡します。離れたまま高校、大学へ。そして再会を果たすふたり。

まずは大穴という名前に引き込まれ、広がる本の世界が楽しくて仕方ありませんでした。しかし中盤以降、ふたりが離ればなれになってからがなんだか面白くない。破天荒だったティアラのいい人ぶりが鼻につきはじめたり、大学の軟派なサークルでヤラれてしまう彩子が嫌らしい女になったり、問題はいろいろ発生するけれど、「どうよいい話でしょ!?」みたいな押しつけがましさと偽善臭を感じてしまうのでした。なんだかんだで400頁あっというまでしたから、面白くないことはないのですけれど、なんだか私は嫌だ(笑)。母親が娘を思う気持ちも伝わってくる、良い話であることは確か。根の素直な人向きです。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 既読(2017年)
感想投稿日 : 2017年4月28日
読了日 : 2017年4月28日
本棚登録日 : 2017年5月15日

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