壬生義士伝 上 (文春文庫 あ 39-2)

著者 :
  • 文藝春秋 (2002年9月3日発売)
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本棚登録 : 7827
感想 : 805
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歴史・時代ものは本当に不得意とするところで、避ける傾向にあるのだが、少しだけ覗き見程度にというつもりで読んだら、さすが,浅田氏。上手い! 打たれてしまいました。 歴史的背景や新撰組などの知識をもって読めばその打たれ具合は増すに違いないでしょう。
 
 南部藩を脱藩し、新撰組に入隊した吉村貫一郎の物語である。上巻はその新撰組時代。前線にて戦う男、吉村貫一郎を格好良く描いたものではなく、武士の義という一本の筋の流れの中に、仲間への思いやりと計らい、郷里に残した妻子のために何としても死んではならない、生きねばならぬ...と、武士の勇ましさとは程遠い無様な姿をさらけ出す吉村貫一郎がそこには描かれている。

 「おもさげながんす(申し訳ない)」と繰り返す吉村。しかし、この勇ましからぬ言葉の裏に、守るべきものを何としても守るという、途轍もない強さ、男気を感じるのは私ばかりではないと思う。下巻が楽しみだ。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 一般書
感想投稿日 : 2013年4月24日
読了日 : 2013年1月30日
本棚登録日 : 2012年2月18日

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