ラガド 煉獄の教室

著者 :
  • 光文社 (2010年2月19日発売)
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感想 : 59
3

“生徒たちはまだ動かない。
生徒18番(女)がまっさきに行動をおこした。日垣にちかづいていったのだ。日垣を静止するために。
血のついた包丁をかまえている、しかも確実に正気をうしなっているであろう日垣にむかっていくとは、大人でも困難な勇気ある行為だが、事実である。生徒たちの多くが見ている。
日垣はこれに呼応するかのように、生徒18番に接近した。
生徒18番は日垣になにか話しかけようとしたが、日垣はこれに答えず、18番に刺しかかった。18番がとっさによけようとしたため、包丁はその左腕を傷つけた。
18番は叫んだ。「みんな逃げて!」”

11月4日午前8時30分、とある私立中学校に一人の男が侵入し、女子生徒を一人殺した。
本来なら、その男が殺人罪で捕まるだけ。
でも、この話は違う。そこから、物語は始まっていく。
次々と新たな視点、切り口から、犯人が変わり、目的が変わり、真相が変わる。
そして、彼らがたどり着いた、この事件の最後の本当の真相とは。
さくさく読めて、切り口がころころ変わるのが楽しい。
最後の展開には鳥肌が立った。

“「大丈夫。うまくいくわ」島津聡子はつぶやいた。
「大丈夫だ」“バベル”が言った。
「大丈夫さ」ブルース・リーも言った。
「大丈夫大丈夫」高橋が笑いながら、瀬尾伸彦の背中をたたいた。

生徒33番(男)と、生徒34番(男)の通話。
「あのとき、藤村が『わたしをかわりに殺して』って言ったのは、本当なのか?」
「カッコつけすぎだよな。よく知らねえけど」
「みんなそう言ってるだろ」
「おまえはどうなんだよ?」
「なんでそんなこと聞くんだよ。おまえはどうなんだよ?」”

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
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感想投稿日 : 2010年4月2日
読了日 : -
本棚登録日 : 2010年4月2日

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