美しい文体で、美しいモチーフを用いて、記憶をめぐる物語を描き出す。紡ぎ出された物語もまた美しいのは必然とも言える。
昭和初期、幼い少年の記憶で幕を開け、敗戦前後の高校生の追憶を中心にこの物語は語られる。
非個性的な彼の感覚を通して淡々と描かれる現実と非現実の世界は幻想的でもある。
他人の心を理解することが不可能である以上、「難解である」という感想はとても生まれやすい小説だと思います。山場もありません。それでも、その世界の美しさに、心を動かされます。きれいな文章です。
耽美よりの方、和風好きでかつ洋物に心惹かれるという方なんかにおすすめです。(H19.04.30)
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
日本
- 感想投稿日 : 2007年4月30日
- 読了日 : -
- 本棚登録日 : 2007年4月30日
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