カント入門 (ちくま新書 29)

著者 :
  • 筑摩書房 (1995年5月20日発売)
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大学1年だったか浪人生の頃、カント哲学(倫理学的な意味においての)を知った。
功利的な利益衡量に陥らない、頑として厳格な義務論を貫く姿勢(勿論万能ではないし「使い所」があるのは承知している)、何よりも、「人間への尊敬」、「汝の人格および他のすべての人格の内に存する人間性を、つねに同時に目的として扱い、決して単に手段として扱わないように行為せよ」という定言命法の異常な格好良さに圧倒的衝撃を受けて以来大好きに。
卒論もカントで書きました。

※例えば殺人事件があったとき、殺された人間がいかに人格の好い人物であったか、いかに周囲の人が悲しんでいるか、という報道があったりする。でも、それ(周囲の感情)を以って殺人への批難を強調する論法は絶対間違ってる。
それは、周囲から疎んじられていたような存在であったら、身寄りがなく、亡くなっても悲しむ人が誰もいないような人であったら、犯人への有責性は軽くなる という主張と表裏一体でしかないから。
どちらにしても周囲との関係性で生命の価値を決定している。社会的な地位、性格、他人や社会にとっての有益性、周囲との関係、そんなものが人間の価値を決定するのではない。
…というような考えの持ち主なのでカントは大好きなんだよ…

※何の学であれ、根底に「人間への尊敬」がないのなら、そんなもんは研究者気取りの自己陶酔、自慰行為にすぎないと思ってる
この辺は『トニオ・クレーゲル』と通ずるもので。所与の態度から100%尊敬しているようなものではなく、もっと色々な葛藤の末、絞り出すようにあるようなものだけど。

(まだ途中)

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
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感想投稿日 : 2015年2月1日
読了日 : 2015年2月1日
本棚登録日 : 2015年2月1日

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