天才にして最悪の殺人鬼、ハンニバル・レクターを巡る、禁断の原点回帰。
戦争で両親を失ったハンニバル少年。彼は幼い妹・ミーシャを守りながらひっそりと山小屋で生き延びていた。しかし隠れ家を求めて侵入してきた逃亡兵達にミーシャは食い殺されてしまう。狼のように残忍な男達の顔と、泣き叫ぶ妹の声だけを記憶に残し、一人生き延びることとなったハンニバル。孤児院から逃げ出した彼は、美しき叔母の元で高度な戦闘技術と、知性を身につけていくのだった。やがて…、自らの記憶に苛まれながら、ハンニバルの復讐劇が始まる……。
「羊たちの沈黙」「ハンニバル」等々、前作を見ているとハンニバル・レクターは、まさしく人外、冷血、天才、残虐な殺人鬼にしか見えませんが、今回の作品では殺人鬼・ハンニバル前の人間らしさも垣間見えてきます。
妹への愛情・助けられなかったという罪悪感・美しく聡明な叔母への感謝。今までは彼を徹底的な「悪者」としか見ていませんでしたが、そりゃそうだよ。あんな体験をすれば誰でもどこかしらおかしくなるよ……。
希代の殺人鬼。ハンニバル・レクター。連綿と続く彼の過去、彼がどのようにして常軌を逸していったのか、その描き方には満足な映画でした。
しかし…、いくつか言わせてもらいましょう。
安易に「東洋の神秘」とか「オリエンタル」を持ってきて欲しくなかった。上手にやってれば問題はないのだけれど。生粋の日本人としては、若干違和感を感じるのでございます。日本刀で肉屋を切り刻むハンニバル…。雪景色の中、剣道に励むハンニバル…。……違和感。
あと最後らへんで、敵の胸に「M」の字を刻み付けるシーン。「ミーシャのMだー!」と大絶叫。技名ですか?技名なんですか?「出たー!ハンニバルの「ミシャーのM」!」みたいな。思わず笑えた。
そんな感じで、いろいろと余波を残した映画でした。
- 感想投稿日 : 2009年6月29日
- 本棚登録日 : 2009年6月29日
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