- 編集長から読者へ―婦人雑誌の世界 (1967年) (いるか叢書〈5〉)
- 今井田勲
- 現代ジャーナリズム出版会 / -
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- 西洋古典こぼればなし (同時代ライブラリー 238)
- 柳沼重剛
- 岩波書店 / 1995年10月16日発売
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收録文中「音読と黙読――歴史上どこまで確認できるか――」は、書物史に關心ある者にとりて必讀なり(初出の註を省けるは遺憾なれど)。
また「二人の古典学者について」等、文獻學者A・E・ハウスマン(詩人としてではなく)に就ての所述が殊に興そそる。前著『語学者の散歩道』(研究社出版、1991)のハウスマン評と併せ讀まば更に興味増すべし。おゝ偉大なる學匠詩人ハウスマンよ……ホンマ難儀なお人やなあ。
この愛すべき畸人と對比せられるもう一人の古典學者ギルバート・マリや、延いてはマリが傾倒せしジェーン・エレン・ハリスンらケンブリッジ・リチュアリストへの批判には專門柄傾聽すべき言あり。附記して參照を請うてゐる「悲劇の起源は祭祀か」(『現代思想』一九七三年八月號)も、讀まいでおかれうか。本邦にても福田恆存から西郷信綱まで依據せる『古代藝術と祭式』が誤謬學説なりけりと知られる。
文體は平易にして考證癖を含みつつ自づから諧謔味を漂はすあたり、手に入ったもの。著者も自覺の上ならむ、師・田中美知太郎の著を英譯する話や「ラテン語版『クマのプーさん』など」は文體論として讀むも可なり。但し後者にて指摘せられたる通り、ラテン語はおよそ樣々なることが言ひ得るも中に言ひにくきこともあり(p.173)とせば、その傳にて同樣に、柳沼の文章は趣味あれどもこの文體にては論じ切れぬことも何かあるべし。それは何か?
拙文「校正癖 あるいはコレクトマニア綺譚」で參照した。
http://www.geocities.co.jp/CollegeLife-Library/1959/GS/correct01.htm
2014年7月3日
- 月瀬幻影: 近代日本風景批評史 (中公叢書)
- 大室幹雄
- 中央公論新社 / 2002年3月1日発売
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近世文人の風景批評が主題だが、裏テーマは歴史的に見た學問論・知識人論でもある。
學問(といふか學藝)論の一節――「学問が、同じことだが知識と言葉が、歴史的に眺めて、この社会で初めてそれ自体の価値と力量とを自覚して学に本来的な自律性の原理に生きることを開始した。[……]/といって、このことがただちに学問が実際の政治ないしは行政に用いられたことを意味するととるのは早計にすぎる。そもそも知識と言葉が、それがほんもの[四字傍點]であるならば、いわゆる実際社会において、政治や経済や軍事の領域で有効であるなどという保証はどこにもありはしないのである。たとえば、国家有用の学問というのは明白な形容矛盾にほかならず、事実は国家に有用であるとき、その学問は無邪気にも堕落している、つまり学ではない。無用性こそほんものの学の名誉の印なのだといっていい。」(p.377)
ついでに、讀書論・教養論の一節も。特に前半――「けだし教養とは自分一個の精神の成長に資するもの、清風[=十聲樓主人]のばあいには、町なかの雑音かしましい熱鬧に暮らしながら、その卑俗をきらって拒絶するのではなく、読書によって形成された生を間接化する力――生にたいしては本質的に暗示引用[アリュージョン、引喩]にほかならない読書から得られた知によって、卑俗も含めた生の直接性を捨象して、生全体を抽象化し観念化することによって、反転して生と世界とを全称的に肯定することのできる穆如たる心の作動――によって、喧騒と静寂また卑俗と風雅の即事的な差異を撥無して、世界の中に確固たる生の位置を占めうるまでに彼の精神を育てるものであるからである。」(p.247)
2014年7月3日
- 新薩摩学 5 雑誌「改造」とその周辺
- 犬塚孝明
- 南方新社 / 2007年10月20日発売
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ツッコミ不足の論文集。そこが知りたい、ってところに書き込みが足りない。
2009年10月29日
- 本を読むデモクラシー: “読者大衆”の出現 (世界史の鏡 情報 3)
- 宮下志朗
- 刀水書房 / 2008年3月1日発売
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淺い。さういふ讀者設定なのか?
フランスで瓦版に當るものはカナール canardとも呼ばれ、p.90以下に取り上げてゐるが、しかしそこで「「カナール」という名前自体、一九世紀になって付けられた蔑称」(97ページ)とするのは疑義あり、平井隆太郎「噂の病態――「新聞の鴨」について」(平凡社『月刊百科』一九八二年二月號「特集 噂」)はドイツの新聞學者に據って十六世紀から見られる用法としてゐた。canard(鴨)の語源説も、宮下が紹介するものより平井が述べるグリムの辭書の説の方がドイツ語Zeitungsente(新聞アヒル=誤報、虚報)との對照も含めて説得力があるやうに見受けるがどうか。
目次 http://www.tousuishobou.com/sekaishinokagami/503-9.htm
2009年10月29日
- 明治大正言論資料 (20) 明治新聞雑誌関係者略伝
- 宮武外骨
- みすず書房 / 1985年11月1日発売
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『明治新聞雑誌関係者略伝』、奮發してやっと買ったが……早まったか。條野採菊(山々亭有人)みたいな初期新聞界の著名な人が立項されてないのは案外だ。それよりも有名人の項を見ると、なほ失望する。西田長壽はなぜこんなに遠慮しいしいでないと書かうとしないのだらう。しかしこの人名事典の本領は、他では引けない無名の人を拾へることにあるから、使ひこなすにはこちらに素養が要るだらう。その手懸りとクロス・レファレンスのためには、やはり索引つけてくれなくては。
http://www.msz.co.jp/book/detail/00950.html
2009年10月29日
甘い。筆者を取り替へて書き直せ。
2009年10月29日
- 瘠我慢の精神 福沢諭吉「丁丑公論」「瘠我慢の説」を読む (朝日文庫 は 32-1)
- 萩原延壽
- 朝日新聞出版 / 2008年11月7日発売
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- 大学の誕生 上 (中公新書 2004)
- 天野郁夫
- 中央公論新社 / 2009年5月1日発売
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- 大学の誕生〈下〉大学への挑戦 (中公新書)
- 天野郁夫
- 中央公論新社 / 2009年6月1日発売
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- 歴史の風景: 歴史家はどのように過去を描くのか
- ジョン・ルイスギャディス
- 大月書店 / 2004年6月1日発売
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- 法のことば/詩のことば: ヤーコプ・グリムの思想史
- 堅田剛
- 御茶の水書房 / 2007年10月1日発売
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- 近代中国における民俗学の系譜: 国民・民衆・知識人
- 子安加余子
- 御茶の水書房 / 2008年11月1日発売
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- 贈与論 (ちくま学芸文庫 モ 11-1)
- マルセル・モース
- 筑摩書房 / 2009年2月10日発売
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- 小松左京自伝: 実存を求めて
- 小松左京
- 日経BPマーケティング(日本経済新聞出版 / 2008年2月1日発売
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- 匂へる園〈第2輯〉現代軟派文献大年表 (1933年)
- 風俗資料刊行会
- 日本愛書家協会 / -
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- 三大編纂物 群書類従・古事類苑・国書総目録 の出版文化史
- 熊田淳美
- 勉誠出版 / 2009年2月16日発売
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- グリム兄弟 メルヘン論集 (叢書・ウニベルシタス 891)
- ヤーコプ・グリム
- 法政大学出版局 / 2008年7月1日発売
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目次 http://rnavi.ndl.go.jp/mokuji_html/000008344716.html
2009年10月29日
- 歴史学と社会理論 第2版
- ピーター・バーク
- 慶應義塾大学出版会 / 2009年6月1日発売
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