異形の大国 中国―彼らに心を許してはならない (新潮文庫)

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  • 新潮社 (2010年10月28日発売)
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「隣に中国という国が存在することは、天が日本に与え給うた永遠の艱難である」。
そんな一文で始まる中国論。
歴史の捏造、領土拡大の野心、軍事力拡大、環境汚染etc...中国がどのように考え、
実際に行動してきたか、あるいは今後していくかが論じられるとともに、
日本の弱腰の外交についても厳しく指弾する。

日米関係の分断、台湾への侵略、外交カードとしての北朝鮮…といった話は、
ふとここ数年の出来事を振り返れば、思い当たる節が無数にあり、
中国の強かさ、えげつなさが際立ってくる。
本書は文庫版だが単行本が2008年に出版されていることを踏まえれば、
当事から尖閣諸島の問題などを指摘していた著者の議論は慧眼と言うべきだろう。

思えば、外交は国益のためになされるべきであり、
当たり前のことは当たり前のこととして実践され、議論される必要がある。
一方で、日本においては周辺のアジア諸国との関係はデリケートな話題でもあり、
忌避されるか、曖昧にするかでずっと数十年来ていたのだろうと痛感させられる。

皮肉な話だが、こうした中国の手法を学ぶことがむしろ近道なのかとも思える。
そのためには、「戦略」を教育するためのシステムが必要なのではなかろうか、
などと思いを馳せた。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 社会情勢
感想投稿日 : 2011年7月27日
読了日 : -
本棚登録日 : 2011年7月27日

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