神の棄てた裸体: イスラームの夜を歩く

著者 :
  • 新潮社 (2007年9月1日発売)
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本棚登録 : 237
感想 : 47
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わずか28歳のライターが6カ月程度で「イスラーム世界の性」という大きすぎるテーマを書くというので、どうも眉つばものではないかと警戒しながら読み始めたが、意外にも、自分自身の立ち位置を誠実に自覚している著者の視点や態度は共感できるものだった。興味本位の消費的ルポでもなく、大上段に対象をジャッジすることもなく、つねに逃げ場をもっている自身のずるさを隠そうとしないところに好感がもてる。取材対象者たちの言語を知らずに、あそこまでニュアンスある話をどうやって知ることができたのかという疑問はなきにしもあらずだが・・・もっとも、本書をもって「イスラームの性」を理解できると考えるのは、やはりあまりにも粗雑というべきだろう。この書き手の真価は、この先どういうものを書くかによって定まるように思う。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: ノンフィクション
感想投稿日 : 2013年1月6日
読了日 : 2013年1月2日
本棚登録日 : 2013年1月4日

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