「若者の性が乱れている、無知だ」などと言われる。実際のところはどうなの?というわけで、大学の教員が学生たちに、セックスについての考え方や実践、異性とのつきあい方についてインタビューしてみた。
読んでみての感想は、あたりまえのことだけど、「若者」一般なんていないんだ、ということ。セックスや結婚についてしごく真面目に考えている子もいれば、自分の若い頃と比較すると羨ましいくらい、のびのびとセックスを楽しんでいる子もいる。
まあ、こういうインタビューに応じようと思う程度にセックスについて言語化できる高等教育課程の若者たちだということは意識して読む必要はあるが、まとまったインタビューという手法によって、多数の統計処理では得られない姿を引き出すことに成功している。特に、田村公江氏が最後の論文で書いているが、「夫婦は何歳までセックスすると思いますか?」という質問への反応は、とても面白かった。
しかし、非常に気になったのは、ヘテロ男子には「くん」、ヘテロ女子には「さん」、ゲイ、トランスジェンダーのふたりには「氏」という呼称を使いわけていること。いろいろ言い訳がしてあるが、やっぱりどうなのよ? さらに、G・T2人のインタビューが、ヘテロ男女ばかりの第1部とは別に、教員の論文の中でのみ扱われているのも、しかたない事情もあったのかもしれないが、やっぱりマイノリティとして別枠扱い、という印象を強めてしまう。せっかくのセクシュアリティ研究の本なのに、これにはがっかりだった。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
ノンフィクション
- 感想投稿日 : 2011年11月11日
- 読了日 : 2011年11月9日
- 本棚登録日 : 2011年11月11日
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