いつの間にか、涙がこぼれていた。。。
帯に書いてありましたが、本当にいつの間にか…でした。。。
いつものことながら、重松さんの小説は1ページ目から入り込んでしまいます。
そして、まるで私もそこにいるかのように、そこで出来事を見て、話を聞いているような感覚になります。
今回のストーリーは、いじめを苦に自殺したフジシュン、子を亡くした親と弟の苦しみ悲しみ、親友と書かれた同級生ユウ、告白され大好きでしたと書かれたサユ、いじめをして名前を書かれた三島と根本…が、背負い背負わされた十字架。
この事件を記事にする記者の人たち…中学生でも容赦しない勢い。
ユウがフジシュンの死から20年にわたっての苦悩と葛藤、遺族とサユとの関わり、気持ちの変化を語っています。
もちろんいじめが1番酷い。でも、名前を書くなんて!とか、記者の人もそこまでする? 遺された親の怒りと悲しみ、逆にユウ側の親の気持ち、みんな自分の子がかわいいし、護りたい。
自殺当日に、告白されたサユの気持ち。
どこをどう切り取っても、逃げられない苦しみ。
どこをどう折り合いつけようとしても、解決しない。
いじめをした三島と根本、そして、名前を書かれなかった堺が、1番悪いと矛先を向けても、その後の顛末にも胸が痛む。
辛すぎる。
自ら死んじゃうのはだめだよ。。。
でも、私がクラスメイトだったら、助けてあげた?
やっぱり、見て見ぬふり…というか、見なかったこと、知らなかったことにしちゃうんじゃないだろうかと思うと、また苦しくなる。
ああ。フジシュンは、命をかけてみんなに伝えたかったのかな。。。
時間が経てば忘れられてしまう。時間が経てば傷も癒やされる。
いや、時間が経てばわかってもらえる!これかな?
でも、やっぱり死んじゃうのはだめだよ。
世の中、ニュースを見てるとこうやって自殺や事故、事件で家族を失って苦しまれている遺族が毎日毎日増えているんだよね。
私がこぼれていた涙は、同情とか、可哀想とか悲しいとかそういう涙とは違った。
いたたまれなくて、どうしようもなくて、苦しくてそして、願いのような祈りのような…。
読み終わってしばらくは、いのちの重さを思い知らされたような、疲労感さえ感じています。
こんな悲劇がこれ以上起こりませんように。。。
- 感想投稿日 : 2024年1月23日
- 読了日 : 2024年1月23日
- 本棚登録日 : 2024年1月20日
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