ラヴレター (角川文庫)

著者 :
  • KADOKAWA (1998年3月20日発売)
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本棚登録 : 2023
感想 : 249
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これはだいぶ前に読んだ小説で、本棚の中で主張してたように見えたから(笑)再読。
映画もとても好きな作品。

ふたりの藤井樹、樹(男)を愛する博子、そして博子を愛する秋葉、の物語。
博子が勘違いから送った手紙がきっかけで、過去と現在を行き来しながら物語は進んでいく。

残酷な面もあるかもしれない、と思った。
自分の恋人が自分を選んでくれた理由が、もし「初恋の人に自分が似ているから」だったとしたら?
そしてそれを、その人を失ってしまったあとに知ったとしたら。
もう訊けないことだから許せるのか、それとも答えを知れないから引きずるのか。ということを、自分に置き換えて少し考えた。

岩井俊二監督映画の独特な透明感が好きなのだけど、文章からもその要素は溢れてた。
思春期をノスタルジックに描くのが本当に上手な人だと思う。

ラヴレターって、自分の想いを相手に押し付けるものではなくて、相手を敬うものなのかもしれない。
例えば「元気でいてくれたら嬉しいです」これだって立派なラヴレターだ。
相手に直接届くことだけが、全てじゃなくて。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 小説
感想投稿日 : 2015年5月7日
読了日 : 2015年5月7日
本棚登録日 : 2015年5月7日

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