ゲゲゲのゲーテ (双葉新書)

著者 :
制作 : 水木プロダクション 
  • 双葉社 (2015年12月16日発売)
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本棚登録 : 273
感想 : 38
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先月発売されたばかりの新書で、巻末にある水木夫妻の対談を読んでいると(2015年に入ってからのもの)、まだまだ長生きするつもりだったのだなぁ…と思って少し切なくなった。
実際亡くなったのは家の中で転んでしまったのがきっかけだったらしいから、きっと身体はどこも悪くなかったんだろうし。

水木さんがゲーテを愛する理由、インタビュー、エピソード、そしてゲーテの格言や箴言に水木さんの言葉を加えた、面白いつくりの本だった。
私自身は哲学の世界はあまり詳しくないけれど、なぜかゲーテの本は本棚にあったので(いつ買ったのかも覚えていないけど)もう一度開くきっかけにもなった。

ニーチェやヘーゲルではなくてなぜゲーテなのかというと、ゲーテの言葉は幅が広くて日本人に合っていると感じているそう。
戦争という過酷な体験をしている氏にとって、徴兵の気配が近づいた時に読み始めたゲーテ哲学の存在は、とても大きいものだったということが分かる。

人間は欲深い生き物で、その欲には際限がないけれど、自分にとって何が幸福なのかということが自分の中で明確にあって、しかもその幸福のラインを低めに設定すれば、普通に暮らしている毎日は大抵幸福なのだと思うことが出来る。
それは向上心がないということではなくて、そんな風に精神が安定していれば、何でもかんでも闇雲に、ではなくて、自分が本当に求めているものが分かってくる、ということ。

「長く寝るのが一番の幸福」と言い切り、フラットに生きた水木さん、とても素敵だなと思った。

ゲーテの言葉で印象的だったのは「精神の意志の力で成功しないような場合には、好機の到来を待つほかない」
努力だけじゃなくタイミングも大事。
その他にも全部で93個の厳選された言葉を楽しめる。
無理をしないこと。を、心に刻み込んで生きたい。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 新書・実用書
感想投稿日 : 2016年1月5日
読了日 : 2016年1月5日
本棚登録日 : 2016年1月5日

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