小説なのか、ドキュメントなのか…。
著者の一人称で回想される章と、アマゾンの密林で小さな家族単位で住処を転々と移しながら暮らす民族の「語り部」の言葉で綴られる章とが混じりながら物語が進みます。
語り部の部分は、なじみのない言葉がたくさん出てくるし、時系列も、登場人物が多いのか少ないのかもよくわからない、独特の文章なので、慣れるまで少し苦労しました。が、徐々に慣れ、学問・啓蒙という名のもとに近代文明が密林の住人たちの生活にもたらした”破滅”の様子が少しずつ理解できるようになってきたことで、どんどん引き込まれてスピードアップ。後半は一気に読み切りました。
アマゾンだけでなく、世界中のあちらこちらで文化の破壊が繰り返されていること、そして、”進化した”社会でぬくぬくと生きている私たちの生活はそうした経過を経てあるのだということを改めて思い知らされる本でした。
語り部が伝える、太陽や月、流れ星、動植物をめぐるものがたりは、とても素朴で、以前に読んだ遠野物語にも、アイヌの人々の物語にも通じるものがあった気がします。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
未設定
- 感想投稿日 : 2021年5月3日
- 読了日 : 2021年5月3日
- 本棚登録日 : 2021年3月28日
みんなの感想をみる