向田邦子が脚本を担当した昭和の優れたホームドラマのノベライズにあたる本。
軍人出身の厳格な祖父、サラリーマンの父親と専業主婦の母、つい出来心で万引きをしてしまったことで家族の中でも屈託を抱え就職も決まらない息子と自由奔放に見える娘…どこにでもありそうな昭和の家族ですが、実は、祖父・父・息子の3人は、それぞれ、心の安らぎを感じる「別の家族」を持っていて…というお話。家族だからこそ見せる姿もあれば、家族だからこそ言ってはいけない(言いたくない)こともある、そもそも家族ってなんだろう…「Always3丁目の夕日」のあたりの時代に近いんでしょうけれど、あんなに美しく出来すぎたストーリーでもなく、ちょっとモヤモヤするのも、向田邦子らしい感じがします。それぞれの心の動きがちょっとした言葉や仕草で透けて見えるのが、上手いといわれる所以かもしれません。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
未設定
- 感想投稿日 : 2022年10月2日
- 読了日 : 2022年9月26日
- 本棚登録日 : 2022年9月26日
みんなの感想をみる