阪急電車には馴染みがあるので、ブックオフで見つけ、積んでおいた本だが、ブクログのブックリストのテーマ「キュンな本」で一番有川浩さんの本が多く上がっていたようなので、春も来たことだし、ひとつ「キュン」としてみたくて。
阪急には良く乗っているが、私は全く乗ったことのない路線。改めて阪急の路線図を見ると、とても広い範囲。
まず、土曜日の昼下がりという設定がいい。平凡で平和な日、図書館でいつも同じ本を争奪戦している、可愛い彼女と偶然?同じ車両の隣同士の席に乗り合わせた彼。会話の発端は窓から見えた川の中のアート。
純白のドレスを着て結婚式の来賓の引き出物を持っているという、訳ありげな美女。その彼女に「討ち入りは成功したの?」と声をかける理性的な年配の女性。その彼女に年配の女性は「良かったら次の“小林“という駅で降りて休んで行きなさい。いい駅だから」と勧めた。何の変哲も無さそうなのに駅に来るツバメについて「今年もやってきました。皆さんで暖かく見守ってください」と駅員さんからのメッセージが添えられていたり、なんとなく暖かさの感じられる“小林“という町で、純白ドレスの彼女は歩いているだけで、心が再生し、婚約者を寝取られたことなんてどうでも良くなった。
色々な人間模様がある。彼女に乱暴な口を利き、暴力的で威圧的な彼氏とズルズル付き合っていた彼女にも、その理性的な年配の女性は「くだらない男ね」と一言言ってくれたおかげで、別れる決心がついた。
電車の中で、大声で話す派手な中年婦人のグループから抜けたい女性。
小学生のグループからハミゴにされている女の子。
馬鹿だが優しい社会人の男性と付き合っている女子高生。
都会的な駅、寂れた駅、それぞれの駅にドラマがあり、駅だけでは分からない町のドラマがあり…。
ここに書ききれないが、平凡な電車の中の平凡な人々の「キュン」や「闘い」があって、電車の中で偶然出会った人とのほんの10分、15分の会話がその後の人生の方向を大きく変えるというのが、どこにでもありそうで無いのがニクイところで。
何が言いたいかというと、私も明日から平凡な平日で仕事なので、もう寝たいから締めるけれど、傷ついている若い女性にピシッと短いけれど暖かいひとことを言ってあげた、あの素敵な年配女性のように私もなりたいと思いました。
とりあえず、阪急沿線には住んでいるので、今度日帰り阪急旅をして、宝塚中央図書館を見てきたいと思います。
- 感想投稿日 : 2024年3月4日
- 読了日 : 2024年3月4日
- 本棚登録日 : 2024年3月4日
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