人間は食べなければ、生きていけない。
そして、食べることそのものにも、楽しみや期待を感じる。
そんな「食」について、人類史に沿って書かれた本だということで、読んでみることにしました。
本書は全九章で構成されています。
第一章、第二章は人類の誕生から紀元前までの期間について。
第三章、第四章は、紀元後から18世紀までの、世界各地域の食事事情について、ヨーロッパを中心に書かれています。
第五章、第六章はそれぞれ、19世紀、20世紀の食事について。
アメリカの食文化、そして巨大食品企業への辛口な批評、フランス食文化への高評価は、著者がフランス人であることを踏まえて読む必要があるかな、と思いました。
第七章は、現在の食に関する問題について。
飢餓で苦しむ人がいるいっぽうで、大量の食料が廃棄されていること。
一部の食品の過剰な摂食により、自らの命を縮める可能性があること。
さらには食料供給のために、地球環境が大きく、損なわれていること。
これらの問題が示されている中で、対策がなかなか進んでいない状況に、暗い気持ちになりました。
第八章は、食の未来について。
第九章は、食事の持つコミュニケーションの側面と、人々の自由の行く末について。
増加する人口と、それに反するかのように減少する、健全な食料の供給。
正しい知識を吸収して、少しでも悪い影響を減らせるようにしたいと思いました。
乱暴にまとめると、前半は世界各国の食事に関する記録やエピソード、後半は著者の視点での、現在そして未来の、食に関する問題と改善策の提言、ということになるでしょうか。
著者の知識量には驚くばかりですね。
読む前は、前半の歴史の部分に興味があったのですが、後半部分の記述が、より印象に残りました。
食の問題については、食品メーカーが提示する情報を鵜呑みにしてはいけないと、学ばせていただきました。
食について網羅的な知識を得たい人、知識を整理したい人は、読んで損はない、一冊だと思います。
同じ著者の本;
『アタリ文明論講義: 未来は予測できるか』
https://booklog.jp/users/makabe38/archives/1/4480097511
- 感想投稿日 : 2021年11月17日
- 読了日 : 2021年11月17日
- 本棚登録日 : 2021年11月17日
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