クララ殺し (創元クライム・クラブ)

著者 :
  • 東京創元社 (2016年6月30日発売)
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本棚登録 : 814
感想 : 81
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大学院生・井森建は、ここ最近妙な夢をよく見ていた。自分がビルという名前の蜥蜴で、アリスという少女や異様な生き物が存在する不思議の国に棲んでいるというものだ。だがある夜、ビルは不思議の国ではない緑豊かな山中で、車椅子の美少女クララと“お爺さん”なる男と出会った。夢の中で「向うでも会おう」と告げられた通り、翌朝井森は大学の校門前で“くらら”と出会う。彼女は、何者かに命を狙われていると助けを求めてきたのだが……。夢の“クララ”と現実の“くらら”を巡る、冷酷な殺人ゲーム!

初見で車椅子のクララ、おじいさん、山脈とくればアルプスの少女だろうと思いこんだけど、関係なかった。ハイジとか出てくるかと思ったのに。
クルミ割り人形の方だったか、ホフマン宇宙なんて言い出すから何かと思ったけど、作者縛りなら納得。ただ不思議の国よりもさらに原作を知らないせいでネタはさっぱりだった。
とはいえ、前作では相棒的な位置だった井森/ビルが今回は主役。不思議の国から迷いでるなんて有りなのか。
前回同様今回もアーヴァタールによるミスリードが鍵だった。ただ前作ほどの驚きはさすがにない感じ。
不思議の国の住人だからこその、あの理不尽でまどろっこしい会話劇なのだと思っていたが、ホフマン宇宙も十分にカオスだった。ドロッセルマイヤー達が簡単に相手の体をバラしたり頭をイジったり出来る時点で何でも有りな気もする。
井森は完全に巻き込まれただけで三度も殺されるなんて理不尽すぎる。
スキュデリが本当に頼もしくて良かった。ビルの扱いもとても上手いし。ああやって上手く窘めてくれれば、ビルの事も可愛らしく感じられる。
ラストで前作と同じ会話が発生したけど、すでにリセット後なわけだし、ビル不在の状況で亜理はいったいいつ合い言葉を知ったのだろう?それとも流れが違うから今度はアリスを助けるじゃなくビルを助ける流れにするのかな?

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 図書館
感想投稿日 : 2019年3月15日
読了日 : 2019年1月18日
本棚登録日 : 2019年1月18日

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