ロシアの論理: 復活した大国は何を目指すか (中公新書 2068)

著者 :
  • 中央公論新社 (2010年8月1日発売)
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ロシアの論理

ロシアのゲームのルールという言葉がしょっちゅう出てきますが、ゲームという多少軟派なイメージを抱きがちですが中身はしっかりとした外交官らしい客観的な分析に終始した良書です。よくも悪くも無難なところがかえって理解をしやすく真偽を判断しやすくなるかと。詳しい内容はプーチンが大統領になって以降の10年とメドベージェフ政権への引き継ぎ後、また周辺諸国との関係を説明。中国やアメリカだけでなく一見関係ないアフリカやその他の小国まで説明されているのは大変グッドです。コーカサスの火薬庫と言われるグルジアなどについて説明されているのはさすが外交官と思いました。政治経済の問題ではホドルコフスキーのユコス事件やリトビネンコの放射性物質を盛られた疑惑も載っています。ゲームのルールを説明した著書なのでセーチンなどの主要官房については控えめ。後半では国内問題について言及。人口問題、教育、医療、領土問題など、日本に住んでいたら絶対にニュースにもならないことも書いてあります。ウラル山脈以東に住んでいるロシア人は700万人だけというのは驚きました。その国境線沿いに住んでいる中国人は1億人以上いるらしいです。国境線を守るのに大変ですねぇ。

分量もそう多くなく、よくある新書レベルの文体なのでロシアに興味ある人にはいいかも。しかしあくまで入門レベルです。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 政治経済
感想投稿日 : 2010年11月17日
読了日 : 2010年11月17日
本棚登録日 : 2010年11月17日

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