吉本隆明の下町の愉しみ (青春新書INTELLIGENCE)

著者 :
  • 青春出版社 (2012年9月4日発売)
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本棚登録 : 27
感想 : 2
3

東京下町風情の庶民感覚の匂いがして趣があります。ぐぐっと深み読みすれば、やはり思想家として論争などもした人として当然というか、血の気の多いとまでは感じさせませんが、エネルギーの大きさ、ひいていえば、血気盛んさを大いに結構ととる性質の人だったのかなあという気がする。まあ、ここいらへんは、過敏に感じとると、という意味でです。過剰な読解・詮索かもしれない。歳を重ねるうちに、だんだん無反省になっていく人は多い。それはひとえに、反省する人間は侮られ勝ちなのがわかってくるからです。反省して自分をよりよくするか、反省せずに人と張り合うか。社会的な人間としての後者を取る人は多い。でもそれって、ある意味大げさに言えば、人間的破たんへ向かったチキンレースなんですよ。吉本隆明さんは70歳を超えた時点でも反省していたりします。社会的自分も大事だけど、でも僅差かも知れなくとも人間的自分を大事にした人なんだと思いました。反省することが恥ずかしくなく、馬鹿にされもしない社会は素敵です。理想ですが。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: エッセイ
感想投稿日 : 2018年1月30日
読了日 : 2018年1月30日
本棚登録日 : 2018年1月30日

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