尾崎行雄民主政治読本

  • 世論時報社 (2013年10月1日発売)
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感想 : 3
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尾崎行雄が晩年に書いた民主主義の基本。
古い本だから違うと思う部分もあるけれど、選挙権を持つ前に読みたかったなあ。
そしたらこれを基準に投票の仕方を考えられたのに。

若い人に読ませたくて書いたということもあって、シンプルでわかりやすい。
筋道だっているから納得も反論もしやすい。


選挙で選ばれた政治家は、有権者を反映する。
有権者が公正な政治家を望んで公正な政治家を選べば公正な政治がおこなわれるし、その逆もしかり。
また、有権者の意思が反映されるとはいっても有権者自身に政治的な意思がなければ投票しても意味がない。
ここは学校で教えるべきだよ本当。

欧米を理想化しすぎなところもあるけれど、それは愛の差なんだそうな。
自国は大事だから叱りもする。他国からはいい部分だけ学べばいい。


尾崎行雄は道理を語る。
みんなが道理をわきまえるのは残念ながら現実よりも理想に近い。
自分の頭で考えろとか、法がどれだけ立派でも運用次第でどうにでもなってしまうから個々の自覚が大切だとか、己を律せよとか、そういうのは本当にそうだけど馬鹿を勘定にいれていない考えだと私は思ってしまう。
理想を言えばそうだけど、馬鹿や怠け者や強欲でずるいやつを含めた社会でもなんとかなるしくみじゃなきゃ無理だよと。
尾崎行雄は現実と戦い続けた人だから、ダメな人がいっぱいいることをよく知っている。
それなのに理想を説き、世界を変えようとしつづける。そこがすごいところ。

こういうのを読むと、まともな人になりたいと思う。



この本は『咢堂言行録』http://booklog.jp/users/melancholidea/archives/1/4915340767を読んで以来、全部通して読みたいと思っていた。
近所の図書館にないし古本はもはや骨董系だし、ちょっと気合いをいれなければ手に届かないと思っていたので、新しい本で読めてうれしい。

が、咢堂言行録の人の編集なので、「読みやすさ」の配慮が合わない。
新書にありがちな高頻度の見出しは元々なのか編集なのか。
私は箇条書きは苦手なタイプだから、見出しが邪魔で気が散る。
どのあたりが削られているのかも気になるし、やっぱり本物を読むしかないかな。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 社会評論・思想
感想投稿日 : 2014年5月8日
読了日 : 2014年5月3日
本棚登録日 : 2014年5月3日

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