小川洋子さん初読。
突然食欲が異常になったかおるの青春の記録。
あまりにも過剰な食欲なはずなのに、読者はそれを受け入れられるし、後半はかおるも、筆者も、読者も、その異常な食欲を当たり前に感じ、食欲が中心の物語ではなくなる。
あくまでかおるの生活の食欲だけがちょっとおかしくなってしまった、程度の書かれ方なのがおもしろい。普通に考えたらかなりおかしいけど、生きる上で食べるというのは大切な行為であり、かおるが無意識のうちに感じていた心の余白を食が埋めていてくれたんだろうなと思う。だからこそ、その余白を自覚してかおるの食欲は戻るのだろう。
たくさん食べ物がててきて、読んでいると片手になにかつまみたくなった。
かおるの親友真由子は、かなり行動力があって友だち思いで素敵。「おそうめんでもゆでようか」と、そうめんをおそうめんと呼ぶあたりは好きで読み返してしまった。
読者によって、友だち、恋人、家族、、印象に残る人が違うんじゃないかな。
読書状況:読み終わった
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- 感想投稿日 : 2023年1月20日
- 読了日 : 2023年1月20日
- 本棚登録日 : 2023年1月20日
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