カンボジアの少年が、家族とともに、ベトナム、タイ、日本と自由を求めて必死で生きていく姿を描く。
兵士に追われ、川賊に襲われ、地雷のある森を歩き・・・少年の目を通すことによって残酷な内容は刺激的な描写になることはないけれど、だからこそ、その奥に潜む問題について考えなくてはいけないのだと思う。
恥ずかしながら、「プノンペン」というヒントを与えられているにも関わらず、作中に出てくる「黒服」「緑服」という兵士たちがどういう政治体制の下にあった団体なのかわからなかった。少年がどうして難民となったのかも、はっきりと理解できなかった。
日本はあまりにも平和で、忘れがちではあるけれど、世界には紛争は尽きず、この物語は完全なフィクションではないのだ、ということを思い出さされた。
説教くさい部分はまったくないにも関わらず、「目を、外に向けろ」。そう言われた気がした。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
なにか考えたくなる
- 感想投稿日 : 2006年4月19日
- 読了日 : 2006年4月19日
- 本棚登録日 : 2006年4月19日
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