不毛地帯(二) (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社 (2009年3月17日発売)
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感想 : 111
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個人的な必要に迫られて読んでいるので、いまひとつノレないのだけど、1巻よりはおもしろかった。

2巻はロッキード事件をベースにした話なのかと思っていたけど、読み終わってから確認してみたら、ロッキード事件とつながっている別の事件、ダグラス・グラマン事件なるものが元ネタと知った。

こんな複雑な話をよく小説にできるなぁ、と超人を見るような気持ちで読んだ。すごい筆力。
国や、国の歴史を作っていくのは政治家だけじゃなく、商社もけっこうな役割を果たすんだな、などと子供の感想のようなことを思う。

ちなみに、小学校の頃、何かで聞きかじり、母に「ろっきーどじけん、って何?」と聞いたら「ピーナッツをな、一粒1万円くらいで政治家に売るねん」みたいなことを言っていて、「えっ、そんなん誰も買わへんやろ? なんでそれが事件なん?」と重ねて聞いたが、母はうわごとのようにピーナッツが、ピーナッツが、と繰り返すばかりで、結局私には何のことか分からないままとなった。おかげでロッキード事件と言われるとピーナッツ、と反射的に思い浮かびます。いまだにどんな事件かよく知らないけど。
しかし、今なら分かることが一つあります。
母よ、あなたもロッキード事件がどういう事件か、よく分かっていなかったのですね。
なぜ分からないなら分からないと正直に言わないのですか・・・。

ちなみに、同じく小学生の頃、トーベ・ヤンソンの『楽しいムーミン一家』を読んでいて、誰かの入れ歯だか何だかが、飛行鬼(ひこうおに)の帽子の中で何か恐ろしいものに変化したのだが、それが何だったかは明記されておらず、「何に変わったかはあなたのお母さんに聞いてください。きっと知っていますよ」と書いてあったので、そのまま素直に母に質問したら、
「そんなもん、知るわけないわ!!!」
とめっちゃくちゃキレられました。
そのあたりから、母に何か質問するのをやめた気がする。

閑話休題。
さて、政府による大型海外発注案件に群がる総合商社と、政治権力闘争のために資金集めに奔走する政治家との癒着、男の世界だなぁ、としみじみ思う。
・・・というと、女性の能力を軽視しすぎる発想かなぁ。
でも、私にはそんな世界を泳ぎ渡るのはとても無理と思ってしまった。
壹岐が妻に何も言わない気持ち、ちょっと理解できる、などとも思う。妻側の立場からすると、もっと信頼してほしいって感じなんだけれど。

後半、「戦後」という時代が終わって、私的にはここから本番、という感じで気分がちょっと盛り上がってきた。次号、さらに期待です。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 小説(日本)
感想投稿日 : 2023年10月1日
読了日 : 2023年9月30日
本棚登録日 : 2023年9月30日

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