優駿(下) (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社 (1989年11月28日発売)
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額に白い星印を捺された漆黒の仔馬、オラシオン、祈り。

オラシオンの誕生、育成から宿命のダービー戦までの三年間。
二分何十秒かで決まる勝負の世界。

和具平八郎の私生児として15年間生きた誠は「お父さんの腎臓をください。お願いですから」と言いながら亡くなっていきました。
平八郎は「俺は生涯、俺を許さん」と言うほかありませんでした。

平八郎の秘書の多田は久美子と一線を越えようとして、手前で逃げられ、そして平八郎をも裏切ります。

そして騎手仲間の寺尾を殺したと思い込んでいる騎手の奈良がオラシオンに乗ります。

トカイファームの渡海千造は亡くなりますが、息子の博正と平八郎、久美子には共通の夢が生まれます。

オラシオンがスタンドに姿を見せたときのスタンドからの喚声と拍手。
オラシオン。何十年に一度の馬。
博正と久美子の夢は叶うのか。

最後のダービーの文章は、大変勢いがあり競技場の雰囲気が伝わってきて上手いです。
圧倒されました。
さすが!と思いました。

吉川英治文学賞受賞作。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 小説
感想投稿日 : 2022年2月17日
読了日 : 2022年2月17日
本棚登録日 : 2022年2月16日

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