図書館の神様 (ちくま文庫 せ 11-1)

著者 :
  • 筑摩書房 (2009年7月8日発売)
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本棚登録 : 6721
感想 : 692
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『図書館の神様』ってどういう意味なのかな?
とまず思いました。
図書館に神様が宿っているという意味なのか、誰か登場人物のことを指しているのか。

高校の国語講師になった22歳の早川清は本当は高校の時にやっていた、バレーボール部の顧問になりたかったのですが、文芸部の顧問にされてしまい、たった一人の部員の三年生の垣内君と二人で時間を過ごします。
清には、高校の時、バレーボール部で部員のミスを責めて、自殺に追いやったのではないかと思い自分を責めている過去があります。
垣内君もまた中学の時にサッカー部のキャプテンをしていて、その時の部員が事故で半年入院していたことがあったことを清はあとで知ります。

以下、完全にネタバレですので、まっさらな気持ちでこの作品を読みたい方はご注意ください。
(どうしても書きたかったのですいません)

垣内君は卒業式の一週間前に文芸部の発表で語ります。
「文学を通せば何年も前に生きてきた人と同じものを見れるんだ。見ず知らずの女の人に恋することだってできる。自分の中のものを切り出してくることだってできる。とにかくそこにいながらにして、たいていのことができてしまう。
のび太はタイムマシーンに乗って時代を超えて、どこでもドアで世界を回る。マゼランは船で、ライト兄弟は飛行機で新しい世界に飛んでいく。僕は本を開いてそれをする」
清は「文学は面白いけど私にとっての「それ」ではない。今の私には愛すべき人もいない。「それ」をする方法。自分以外の世界に触れる方法。今、思いつくのは一つだけだ」と教師であることに意義をみいだします。

「神様のいる場所はきっとたくさんある。私を救ってくれるものもちゃんとそこにある」

図書館の神様の意味はわかりました。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 瀬尾まいこ 小説
感想投稿日 : 2019年4月6日
読了日 : 2019年4月6日
本棚登録日 : 2019年4月6日

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