夫の武田泰淳とのロシア旅行の日々が綴られている。
読んでいて自分も旅をしている気分になるような紀行文は案外少ないと思うのだが、この本はまさにそういう紀行文だ。淡々とした日記のような文章(というか、実際に当初は日記として書いたものらしい)ながら、風景や匂い、出会った人々の息遣い、さらに旅という非日常のなかにふと訪れる倦怠感のようなものまで、気づいたら共有している自分がいる。
また武田百合子さんという人がたいへん魅力的でかわいらしい方なのがわかる。旅の途中で出会う現地の人々との交流などは読んでいてつい顔がほころんでしまう。そしてふと漏れる心の声にはっとさせられる。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
エッセイ
- 感想投稿日 : 2015年11月21日
- 読了日 : 2015年11月21日
- 本棚登録日 : 2015年6月10日
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