犬が星見た―ロシア旅行 (中公文庫)

  • 699人登録
  • 4.01評価
    • (100)
    • (64)
    • (91)
    • (3)
    • (0)
  • 79レビュー
著者 : 武田百合子
  • 中央公論新社 (1982年1月10日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (340ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784122008946

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
ほし よりこ
ポール・オースタ...
村上 春樹
内田 百けん
有効な右矢印 無効な右矢印

犬が星見た―ロシア旅行 (中公文庫)の感想・レビュー・書評

  • 『つれて行ってやるんだからな。日記をつけるのだぞ』


    ご主人が著者を子どもか妹、はたまた犬のような可愛がりかた
    珍しいチーズを知っていれば百合子がそんなことを知っているのかー!
    神妙な顔をして本を読めば、やいポチわかるか、など。
    でもちゃんと妻として寝台での酒やつまみ(チーズなのにキャラメルと間違い食べてくれなかったりしたが)を用意したりしている。
    カメラで写せ写せと写していたものがフィルム入ってなくて撮れておらず、ばかといわれるからひた隠し次の日散歩で適当に撮りに行くのが可愛らしい。
    そこでドッカーンの事故を見てしまったり。
    アクシデントでひとつ町に寄れなくなると、どうしていけないのかなぁと著者にだけ聞こえる声で主張する夫さん、子どもみたい。
    2人で別行動しようか?とゆっても却下。
    どちらが子どもでポチなのか。
    気に入った食物をあぷあぷと食べたり。

    同行した竹内さんも、銭高老人も、ご主人も、この旅以降からだを壊したりして結局そのまま最後の旅となった。
    犬が星見た、なんてほんとうにセンスがいいなあ。

  • こんなに心動く随筆は初めて。
    百合子さんの文章は憧れです。
    まだ見ぬロシアを想像して読んだ学生時代。
    今は夫婦という結びつきに思いを馳せながら読んでいます。

  • 1969年、横浜から船でロシアへ。鉄道や飛行機でロシア大陸横断の約一ヶ月の旅へ。のんびりとした、不便さも楽しむロシア旅。決してはしゃぎ過ぎず、臆することもなく、悠々と大陸を行く武田百合子。私も一緒に旅した一ヶ月、旅の終わりのセンチメンタルな気分に、あとがきがまた秀逸。

  • 武田泰淳、竹内好と共にロシア旅行に出かけた武田百合子の日記。
    帰国後、夫泰淳と竹内氏は病で、二度と3人で旅行することはない。
    犬が空を見上げるように、大きな目で見まわしているのが、眩しい。
    最近なにかと話題になったレーニンの木乃伊(本書のなかで、そう何度もいわれている)も出てきます。

  • 作家の武田百合子が、まだ海外旅行が一般的ではなかった時代に、夫と夫の友人と三人でロシアをめぐる団体旅行に参加したことを描いた旅行記だ。
    高山なおみがこの本に影響を受けて旅に出た、という旅行記を読んで、興味をもって手に取った。

    確かに面白い。
    往時の風俗がわかることもだけれど、物おじせずに世界と相対する武田百合子の愛嬌ある行動や語り口が魅力的だった。

    夫に酒を探してきてくれと言われて単身街中を歩き回り、酔っぱらった身振りで酒がほしいことをアピールするくだりや、不機嫌なガイド見習いを快く思わず去り際に日本語で堂々と悪口を伝えて「イヒヒ」と笑うちょっと意地悪なところなど、なんとも可愛げがある。
    また、同じ団体旅行に参加している大阪の大金持ちの「銭高老人」がいい味を出していて旅を面白おかしく彩っている。
    現代のツアー旅行にいたら完全に迷惑なわがまま老人なんだけれど、この時代のおおらかさというか、敬老精神というか、みんな微妙に迷惑で面倒くさそうなのに老人を愛している感じがいい。
    冒険だ、世界を見てやる、という意気込んだ旅行記(=自分記)ではなく、フラットな視点で平易に書かれた内容が、まさに「犬が星見た」というタイトルにふさわしいなと思った。

  • 1970年代にユーラシア大陸を横断した旅行記。
    著者である「百合子さん」は40代半ば。
    同行者は、夫で作家の武田泰淳さん、60代か。
    そして夫の友人の「竹内さん」。
    そして団体旅行なので何人かの日本人。


    行きたくて行った旅行では無かったようで、旅の初めの頃は、旦那さんが機嫌をうかがってくれたときにブーたれた態度を取ったりする主人公に苛立ったり(自分にも覚えがある)、序盤はちょっと頁が進まなかった。

    のだけど、不思議と徐々に面白くなってきた。
    私自身は、旅好きでも無ければ旅慣れてもいないけれど、何度かは国内外に旅行したことがある。そのうえでこの本の魅力を考えてみると、ずばり、「旅行記なのに土地に思い入れがない」ことだと思う。

    旅行記って、旅の、土地の、「内容」が力説されがちなのだけど(当たり前だが)、この本は旅行にまつわるいろいろなくだらない細部というか本質的ではないディティールこそに力点が置かれている。実はそういうポイントの方が、自分にとっては旅の思い出として貴重だったりする。

    また、誰かと旅行に行くときに、相手によっては「この人とずっと居て、楽しくできるかな。相手も楽しんでくれるかな」という薄い緊張感みたいなものがあったりして、でも時間と空間を共にしていくうちに「あ、私たちがタッグを組むとこういうスタイルね。私も相手も、一緒にそして各々に、楽しめているな」という感覚が掴めてくる、そういう一面もあると思うのですが、その辺を、この本の中で「百合子さん」が徐々に探って(というほど意図的だったかどうかはわからないが)、自分なりのこの旅行への距離感というか、愉しみ方というか、そういうものを確立していく感じもかなり興味深かった。

    特にモスクワ以降。
    錢高老人を帰す計画から、団体が解散して旦那・百合子・竹内の三人旅行になってからは、よりより「旅行する仲間の人間関係のドラマ」の愉快さが大きくなって、サクサクと読めてしまった。


    そんなわけで、もともと「どこどこのなになにを見るぞー!」という気負いのない百合子さんだけど、そんな彼女がまっさらな気持ちで出会った大自然や中央アジアの暮らしなどに素直に感動していると、読んでいる私もつられて感動できてしまう。

    正直に言うと、旅行そのものが自分はあまり好きではない、とまで大まかは思ってしまうのですが、そんな私にも「あ、旅行するのも良いなあ」と思わせてくれたから、それだけでも凄い本(笑)。


    多分、百合子さんにとっては「どこに行くか。何を観るか」というのはどうでもよかったんだろうなあ。「誰と行くか」という楽しみ方だったのでは。
    世界の果てを見に行くのが好きな人もいれば、百合子さんみたいなこの本みたいな旅行もあって、「旅行」「旅好き」にもいろいろあるんだなあ。

  • ちょっと恵まれた状況にあったので、14歳くらいから18歳くらいまでだったか、よくひとりたびをしていました。
    恵まれたというのは、ひとりたびに行きたいなあ、と、いうと、祖父が5万6万といったおカネをポンとくれた、ということとか(貧乏旅行でも金はかかりますからね。道中稼ぐ能力が無い限りは)。
    それを許してくれた家族とか、駅寝や夜歩きというレベルのささやかな冒険を繰り返したけれども怖い思いをせずに済んだ、というようなありふれたことです。でもどれも実は、振り返ればラッキーなことで、お天道様や亡き祖父に感謝です。中国戦線の生き残りで、気前が良くて酒癖のやや悪い人でした。
    青春18きっぷ、という恐ろしいネーミングの、「各駅停車1日乗り放題券」があり(今でもあるのでしょうか)、それが5枚綴りなので5日間か10日間。ずーと各停。体力があった当時ならではです。例えば東北を目指して各停車内で延々と本を読み、飽きたら延々と車窓を眺め。青森について、思い立って夜中に連絡船にのり(宿代が浮くから)、また朝から各停、日が暮れて札幌につき。歩いて歩いてユースホステル。あたりのラーメン屋でサッポロラーメンとサッポロビール(ビールの味など分かる訳はなく、背伸びのカッコつけです)。
    翌朝「せっかくだから盛岡とか秋田も行きたいし」と、そそくさと札幌を去るような。(盛岡でも秋田でも同様の繰り返し)
    今思えば、なんだか勿体無い、とかつての自分に思ってしまいます。年に2~3度のペースであちこち行きました。
    ひとりたびならでは、「袖擦り合うも」で、それなりに色々とありつつ、まあでも大した事は何もなく。それでも自分としては現実から家出したような錯覚、恍惚と不安。旅先の出会いや出来事は、上手な化粧のようにすべて美しく思え、嬉し寂しく多感な思いの残るものです。
    一度か二度、友人とふたりたびも。ふたりだからってなにも変わらず。だらだらと時間を過ごしたわけですが、これまた不毛に顔を突き合わせていた時間が後になって振り返るたび、おもしろおかしく味わえました。
    と、いう何とも言えない旅の気分を思い出した一冊。「犬が星見た」。武田百合子さん。中公文庫340頁。
    #
    読書会の課題図書。毎度ながらありがたい。初読みの作家。
    旅行記です。
    旅行記なんだけど、「旅行記離れ」した面白さ。
    旅行記だろうが、身辺雑記だろうが、未来宇宙SFだろうが、「面白い本」と「そうでもない本」の2種類に分かれます(読み手それぞれにとって)。
    百合子さん、が、「武田」という旦那さんと、「竹内さん」という友人の男性と、三人仲間で団体旅行に加わって出かけます。行先は中央アジア~ロシア。その道中記。
    一行三人はどうやら皆さん若くはありません。まあ50代~60代くらいの感じなのか。特段の目的や狙いがあるわけではなく(語られるわけではなく)、物見遊山の観光旅行。日本人の団体です。
    船で津軽海峡からアジアに上陸。そこからは主に飛行機で転々と。最後はデンマーク?だったかスウェーデンだったか?飛行機で帰国。
    昔の話です。1969年のお話。
    詳しくは知りませんが、まだまだ海外旅行は高価だったでしょうし、ソビエト連邦への旅行は何かとレアで大変だったでしょう。そういう「希少価値」もかつては、この本にあったと思います。
    ですが、2017年に僕が読んでも面白かったのは、そういう「その時代のレアな旅行記」という狙いで書かれてはいない(と思う)からです。
    百合子さん御一行は、中央アジアからレニングラード、モスクワへと旅していくのですが、その土地土地の歴史への愛情や興味をもとにして思索したり旅情を味わうような要素が、ほとんどありません。いや、まったくありません。びっくりします。
     ぢゃあどこに行っても変わらないんじゃないか... 続きを読む

  • 2016/08/04 再読
    もう何度目の再読なのか数え切れない。
    初版の分厚いのもあるのに持ち歩きたくて文庫も購入。えらいこっちゃ

  • ロシア旅行。武田泰淳氏や竹内好氏、銭高老人や現地の人々が生き生きとおもしろおかしく描かれていて、楽しめた。百合子さんのように異国を旅できたら楽しいだろうなあと思う。富士日記もそうであるように、この本も、よくぞここまでの日記を書けるもんだなと思ってしまう。すごい。

  • 夫の武田泰淳とのロシア旅行の日々が綴られている。
    読んでいて自分も旅をしている気分になるような紀行文は案外少ないと思うのだが、この本はまさにそういう紀行文だ。淡々とした日記のような文章(というか、実際に当初は日記として書いたものらしい)ながら、風景や匂い、出会った人々の息遣い、さらに旅という非日常のなかにふと訪れる倦怠感のようなものまで、気づいたら共有している自分がいる。
    また武田百合子さんという人がたいへん魅力的でかわいらしい方なのがわかる。旅の途中で出会う現地の人々との交流などは読んでいてつい顔がほころんでしまう。そしてふと漏れる心の声にはっとさせられる。

  • 朝日の書評。
    あとがきが良いとのこと。

  • とても素直な気持ちがストレートに書かれていて面白い。ソ連時代の様子もよく分かるし、当時の日本人団体旅行の様子もよく分かる。旅はどこへ行くか、よりも結局は、誰と行くか、なのかも。

  • 仕事部屋の掃除をしながら、ものめずらしげに本を覗いている私を、武田はおかしがったものである。
    「やい、ポチ。わかるか。神妙な顔だなあ」と。
    もしかしたら星など見えはしないのかもしれないが、そうとしか思えない恰好をしている犬を見かける。はやばやと人や車の往来がと絶えた大晦日の晩などによく見かける。とりかたづけられ、いつになく広々とした舗装道路のまんなかに、野良犬なのか、とき放された飼犬なのか、ビクターの犬そっくりに坐って、頭をかしげ、ふしぎそうに星空を見上げて動かない。
    まことに、犬が星見た旅であった。楽しかった。

    『あとがき』

  • 素敵なタイトルにニッパーくんを想像。合ってた!
    百合子さんのテンションがたまらなく好き。
    色川さんの解説が全てだ。
    富士日記も読もう。ご主人のも。

  • 山崎ナオコーラさんが落ち込んだ人にすすめる本

  • 旧ソ連・北欧旅行記。
    海外に行ったからといって物怖じせず、はしゃいだりもせず、
    どこに行っても百合子さんは百合子さん。
    むしろ夫の泰淳氏の方がはしゃいでいたんだろうなというのが感じられる。
    彼女のお気に入りの旅の同行者・銭高老人のキャラがいい。
    (ツアー旅行といえども、この時代に80歳の老人が海外旅行ってすごいと思う。)

    ロマンティックなタイトルの意味が明かされるあとがきが切なくも素晴らしい。
    富士日記を読み終わって寂しく思っていたので、
    武田夫妻が本の中で元気に旅しているのが嬉しかった。

    「旅行者ってすぐわかるね。さびしそうに見えるね」
    「当り前さ。生活がないんだから」

  • またロシアに行きたくなる。

  • ロシア旅行記(物語と勘違い) 夫・武田泰淳、友人・竹内好らと旅した20日ほどの行動、やり取りをほぼメモ的に記述。 犬が星見たような旅。

    よさがよくわからなかったけれど、あとがきを読んで印象が変わった。さきにあとがきを読むといいかもしれない。

  • 昭和 44 年、武田泰淳さんと竹内好さんが参加された、
    旧ソビエト連邦への旅(F 旅行社企画の「69 年白夜祭とシルクロードの旅」)
    に同行した夫人武田百合子さんの書かれた日記。
    百合子さん面白くて可愛い人だ。
    視点と感性に秀でた文章に魅せられた。
    泰淳さんいつも飲んでばかりの印象。
    銭高老人が強烈に個性的である。
    たくさん撮られていた写真もみてみたいものだ。

    1979 年 第 31 回読売文学賞随筆・紀行賞受賞作品。

  • 百合子ファンとして、この本ももう何度めかの通読。
    じつに百合子さんらしい、ならではの旅の記録。
    こんな表現をするひとって当時、ほかにいなかった
    んじゃないかと思われる。
    銭高老人なんて、作られたキャラクターのよう。
    百合子さんにかかるとこうなるのだなぁ。

  • ウクライナ旅行を思い出した。

  • 淡々としてるのに、なんて素敵。自分がすきな女友達はこんなかんじだなと思った。昭和44年、夫婦と竹内さんのロシア旅行記。端々の場面や言葉がいくつも心に残った。私もこんな旅行記が書けたらいいな。日記は、基本だな。
    いろんなところでよくお酒も飲む。ちょこちょこ絵葉書を買う。さりげないが夫には歯がない。
    添えられたあとがきで、読んでる間はリアルタイムで体感してる気持ちになるけど、本は後から振り返る存在だって気がつく。
    銭高老人もすてきだった。きりとり方がすてきなのか、百合子さんが好きな人が好きになる。
    いってきたところがでてくると40年前でも懐かしくてうれしい。中央アジアにわくわく。

  • 読むのに少し時間がかかったけど、読んでよかった。武田百合子は物事をじっと見ている。それをそのまま書いているのに、それだけなのになんでこんなに楽しいんだろう。清廉潔白かと思いきやガイドの女に対する陰口を聞いているのが楽しい、とか正しいだけの人でないのが面白い。帰りの飛行機で武田泰淳と竹内さんが時々、「スパシーバ」「パジャールスタ」と言い合ったというのがなんだか深く胸にきた、銭高老人も元気であの世にいるだろうか。

  • 読みながら、同い年の友達が来年から夫婦で世界一周旅行することに思いを馳せて、なぜかわたしがすごいワクワクした気持ちになった。

  • 武田 百合子
     中央公論新社 (1982/1/10)
        (中公文庫)

    ラジオで小川洋子さんが紹介されていた
    「 武田百合子全作品(4)」で読んだ
    今の旅行とは全く違ったロシア旅行
    淡々とした目線にユーモアがあって クスッと笑ったりしながら引き込まれて読んだ
    単なる旅行記ではない飾らない素直な文
    同行の方々もユニークで楽しい
    初めて知った方だけど 今は亡き著者にとても好感をもった
    いい本に出会える喜び 

    ≪ 淡々と その国・人を 受け入れて ≫

全79件中 1 - 25件を表示

犬が星見た―ロシア旅行 (中公文庫)に関連する談話室の質問

犬が星見た―ロシア旅行 (中公文庫)を本棚に登録しているひと

犬が星見た―ロシア旅行 (中公文庫)を本棚に「読みたい」で登録しているひと

犬が星見た―ロシア旅行 (中公文庫)を本棚に「いま読んでる」で登録しているひと

犬が星見た―ロシア旅行 (中公文庫)を本棚に「積読」で登録しているひと

ツイートする